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ケルトの笛 インタビュー

マイク・ラファティー Mike Rafferty

※ このインタビューは、ホームページ「A Guide to the Irish Flute」より、著作権保有者のBrad Hurley氏の許可を得て日本語翻訳し、公開しています。
 
このインタビューは2002年7月にポール・ウェルズ Paul Wellsとマイク・ケイシー Mike Caseyのふたりによって行われた。

インタビューについて
注:このインタビューは他のものに比べてかなり長いので、幾つかのセクションに分けている。

パート1:家族と故郷
マイクが幼い頃を過ごした東ゴールウェイの村と出会った音楽や音楽家について語っている。

パート2:演奏を学ぶ
マイクの初めてのフルート、どうやって学んだか、どこで演奏したか。

パート3:ゴールウェイからアメリカへ
ニューヨークへの移住、ニューヨークでの音楽の盛衰、アイリッシュ音楽とフルートへの情熱の再燃について語る。

パート4:東ゴールウェイの音楽
東ゴールウェイの音楽の特質、他の地域のスタイルとどう違うのかについて語る。


左枠:インタビュアー=マイク・ケイシー(M)とポール・ウェルズ(P)
右枠:マイク・ラファティー

 

マイク・ラファティーとマイク・ケイシー(撮影ブラッド・ハーレイ)

出典 A Guide to the Irish Flute

パート5:東ゴールウェイの音楽

アイルランドにいた頃、好きなフルート奏者はどなたでしたか?(M)

憧れていたのはジャック・コグラン Jack Coughlanです。彼の演奏には特別な感じがあります。もちろん聞いたのはずっと若い時でした。まるでほとばしり出るような彼の音楽…。私の心を鷲づかみにしたものが何であるのかわかりません。彼とアギー Aggie、2人が演奏するのを聞いたことがあれば…。ふたりはお互いに賞賛しあっていました。私も心の中で思ったものです。
「あんなふうにフルートが吹けたら…」彼はフルートで素晴らしい音色を紡ぎ出していました。
十八番は"The Collier's Reel" で、まるで息継ぎをしていないみたいに、どこにでも入れたいところにロールを入れることが出来ました。彼のスタイルが好きでした。彼みたいに演奏できる人は他に知りません。

あなたの住んでおられた地域には大勢のフルート奏者がいたようですね。
アイルランドのほかの地域に比べてみても…。(M)

まるでフルート奏者の「巣」ですよ。もう1人、全く知られていなくて、人前では演奏しない男がいました。たぶんプライベートなダンスパーティーでも吹かなかったと思います。自分の家では、あるいは一杯飲んだ時にたまたまフルートを持っていたら、吹いたかもしれません。でも、フルートを持ち歩かない男でした。この人も素晴らしいスタイルを持っていました。パディー・ホロラン Paddy Holloranという男ですが、残念ですが他界しました。この人も私に影響を与えました。私より少し年上でした。フルートから流れ出す安定した音色。いいヤツでした。

ウッドフォード出身のもうひとり優れたフルーティストがいました。トミー・ガフィー Tommy Gaffeyです。

この地域のフルートの演奏の仕方はアイルランドのほかの地域と違うのですか?(M)

演奏が上手なら、その人がどこの出身なのかわかります。スライゴーのスタイルは違います。ロスコモンは…スライゴーと似ています。リートリムのことはよくわかりませんが、あの頃、スライゴーの演奏スタイルは明らかに東ゴールウェイのスタイル、少なくとも私の生まれた地域のスタイルとはかけ離れていました。ここはクレアとの州境から5マイルしか離れていないのです。

ある晩the Blarney Star で演奏していた時に、一緒にいた友人と自分達の音楽はどこから来たのかという話題になりました。「クレアの境からほんの5マイルしか離れていないし、言ってみればクレアは丘の上、自分達は谷間にいる。音は昇っていくものだよ。だからクレアの人は俺達から音楽を学んだのさ。」ってね。

東ゴールウェイのフルートのスタイルを説明するとどうなりますか?(M)

わからないですね…。誰でも自分のスタイルや生まれ育った土地に思い入れがあると思います。特に注意を払ったことはないのですが…。1つ言えるのはスライゴーの奏者はフレージングや変奏をより多く入れる傾向があります。シェイマス・タンゼイ Seamus Tansey を聞いたことがあるでしょう。彼のスタイルは異なっています。マイク・フリン Mike Flynnのことは聞いたことがあるかどうかわかりませんが、彼はスライゴーの人で、彼とは一緒にやったことがあります。

スタイルの違う2人のフルート奏者が一緒にやるのは難しいことです。私にとってはかなり大変でした。マイケル・フラットリー Michael Flatley もそのスタイルです。1979年に一緒にツアーしたときのことは忘れられません。彼はスライゴースタイルなのです。一緒に演奏できるようになるのに丸一週間かかりました。

いつも速く演奏する必要はないと言っておられますね。(M)

ええ。多くのプレイヤーが「ダンスの伴奏をしているのだから、速く吹かなくちゃならない」と言っているのを聞くでしょう。その言葉がすっかり体にしみ込んでいますね。それで、いつでも速く演奏してしまうのです。私はゆっくり演奏したいと思います。そのほうがいい音が出せます。
より感情をこめることができます。より満足を得ることができます。演奏していてより楽しいでしょう。
ジョー・マッデン Joe Maddenも言っているようにより豊かな演奏が出来るのです。特に曲を覚えている時には、十分にコントロールできるようになるまでは、ゆっくり演奏するべきだと思います。でもどんな曲でも、上手に吹けるようになっていてもいなくても、ゆっくり丁寧に吹けばより美しくなるのです。

テープレコーダーが出来る前は、曲を覚えるのは今より難しかったでしょう。(M)

それほどたくさんの曲はなかったのだと思います。曲が少なければ覚えられます。

楽譜を書いたり読んだりできない昔の人は、どうやって曲を覚えたのでしょうか。これも大変なことだったのでしょうね。父がどうやって曲を覚えたのか知りません。1曲を覚えるのにもきっと長い時間がかかったことでしょう。でも誰かが吹いているのを聞くでしょう。
前にも言ったようにジャック・ダーバン Jack Dervanですが、私が道を歩いてどこかへ行こうとしていると、畑で働いているジャックが私に気づいて、「これ知っているかい?」と声をかけてきます。こういうふうにして曲を覚えたのです。

あなたは楽譜を読めないのですね?(P)

ええ、読めないし書けません。

昔、記憶に頼るほかなかった頃、記憶力は今よりよかったのでしょうね?(P)

そうなのでしょう。私の周りの人、特に年配の人はスッと頭に入ってくるようですね。誰も書いたもので音楽を理解しているのではないのです。

お気に入りの1曲というのはあるのですか?(M)

特に1曲と言われるとないのですが、好きな曲ならたくさんあります。曲をあまり知らないとき、お気に入りの1曲が生まれます。1つの曲を覚えるとそれが好きになって、しばらくの間それがお気に入りになります。それから別の曲を覚えて、その曲がまたお気に入りになっていくのです。
パディー・ファヒィ Paddy Fahyの曲には魅力的ものがあります。それからパディー・オブライエン Paddy O'Brienのも好きです。

ありがとうございました。
インタビューに時間をとっていただいたことに、お礼申し上げます。(M)

ええ、いっしょにお話できてうれしかったです。(P)

いや、こちらこそ。
ありがとうございました。

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