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ロー・ホイッスルについて知っておくべきこと

※ このインタビューは、McNeela Musicより許可を得て翻訳、公開しています。
元のホームページはこちらです。(英語)
英語翻訳:村上亮子

意識しているかどうかは別として、多くの人はロー・ホイッスルの音色を聴いたことがあります。

ロー・ホイッスルは1990年代に、「リバーダンス」“Riverdance”で使われ、大きな関心を呼びました。この素晴らしいアイリッシュ・ダンスのステージは世界を驚愕させ、伝統的アイリッシュ音楽とダンスを新しくてエキサイティングなレベルにまで引き上げたのです。リバーダンスではデイビー・スピラーンDavy Spillaneによるロー・ホイッスルが演奏されました。
 


しかしこの素晴らしい楽器の名がさらに知られるようになったのは、1997年、映画「タイタニック」のメイン・テーマで使われた時です。

「My Heart Will Go On」は世界中の新しい聴衆にロー・ホイッスルの神秘的な音色を届けました。印象的なオープニングは、デイビー・スピラーン自身がロー・ホイッスル E管で録音したもので、聴けば耳に残るものです。皆さんもこれを読みながら心の中で歌っているのではないでしょうか。どうぞそのままで。動画でお聴かせしましょう。
 


このセリーヌ・ディオンのヒットは多くの人の心をつかみ、はからずも、この素朴な楽器をアイルランドのもっとも有名な楽器のひとつという現在の地位にまで引き上げました。

物事がどう進むかは面白いものです。北アイルランドで建造された悲劇の船は目的地に着くことはできませんでしたが、アイルランドの伝統楽器を世界に広めたことに間接的に関わっているのです。

では、ロー・ホイッスルはどのようなもので、どうして生まれたのでしょうか。
 

1. 幸運な事故:モダン・ロー・ホイッスルの起源

ロー・ホイッスルは90年代になって商業的に人気が出てきましたが、作られたのは1971年で、ある著名なアイリッシュ・ミュージシャンの貴重な楽器が哀れな最期を遂げた時のことでした。

イングランドのフルート・メーカーでジャズ音楽家のバーナード・オーヴァートーン Bernard Overtonが、今日ロー・ホイッスルとして知られている楽器の生みの親です。

彼の最初のモデルは、ほかならぬ伝説のフィンバー・フュレー Finbar Furey(有名なアイリッシュ・フォーク・グループ、The Fureysのメンバー)のインディアン・バンブー・ホイッスルの後継として作られました。フュレ―のホイッスルはイングランドのコベントリーのパブで、誰かがその上に座って壊れてしまったのです。セッションで演奏する時にはいつも楽器に気を付けようという苦い教訓になりました。

オーヴァートーンはこの最初のモデルを「テナー・D・フラジョレット」と呼びましたが、「ローD」あるいは「ロー・ホイッスル」として知られるようになりました。公平に言って、この方がうける名前だと思います。
考えてみてください。もし不注意なお尻がなかったら、私たちがよく知り、愛しているロー・ホイッスルは存在しなかったかもしれないのです!
 

2. 流行の創出

フィンバー・フュレーは新しい楽器を広くツアーで演奏しました。オーヴァートーンはすぐに新たな注文に追われるようになり、「オーヴァートーン・ブランド」を作りました。彼のロー・ホイッスルは、今でも他のロー・ホイッスルを評価する時の基準になっています。

オーヴァートーンは2008年に亡くなるまでこの美しい楽器を造り続け、その後は彼の後継者コリン・ゴールディー Colin Goldieが引き継ぎました。

もしオーヴァートーンのロー・ホイッスルを手にすることがあれば、それが美しい楽器で、探し求める値打ちがあるとわかるでしょう。
 

出典 McNeela Instruments ホームページ

3. ティン・ホイッスルの種類:ソプラノ、アルト、テナー・ホイッスル

もう、気付いていると思いますが、ティン・ホイッスルとロー・ホイッスルは同じ仲間です。

現代のティン・ホイッスルは様々な大きさと調があります。キーが高いほど楽器は小さくなり、低いほど大きくなります。ソプラノ、アルト、テナーというのはホイッスルのキーや音域を示す言葉です。

このような分類については、Irish Whistle Buyer’s Guideで読むことができます。

ロー・ホイッスルとソプラノのティン・ホイッスルは理屈の上では同じ楽器です。ローDはソプラノDホイッスルより丁度1オクターブ低くなっています。それで本体は太く、長さは2倍になります。

ソプラノやアルトのホイッスルと同様にロー・ホイッスルにもC、Eb(フラット)、Eなど、様々な調があります。しかし最も一般的なのはローDで、これはアイルランド伝統音楽ではDメジャーが最も一般的に使われるキーだからです。

さらに低いキーのホイッスルを作る製作者もいます。例えばコリン・ゴールディーのバスGホイッスルがいい例です。素晴らしい工作技術ですが、自分の指をそれ程広げることができるか、私は自信がありません。皆さんはどうですか?
 

4. 印象的な音色

ロー・ホイッスルの音色はソプラノ・ホイッスルよりも深く、情感があり、柔らかです。また同類のより古い形をとどめている笛より斬新で心を掻き立てる音色をしています。

アイリッシュ・ティン・ホイッスルの演奏はこの数十年で劇的に進化しました。多くの名演奏家がホイッスルを新しいレベルに押し上げ、アイルランド伝統音楽の垣根を押し広げました。

その結果、ロー・ホイッスルは現代の名手が選択する楽器としての確かな名声を築きました。下のジョン・マックシェリー・バンドThe John McSherry Bandの演奏を聴いてみてください。境界が消え、ジャンルの限界を越え、この小さな楽器が今やその頂点に君臨するフュージョンに触発された音楽を感じられる、このジョン・マックシェリー・バンドThe John McSherry Bandの演奏を聴いてみてください。また、ロー・ホイッスルとソプラノ・ホイッスルの違いもよく聴き取ることができるでしょう。
 

5. ロー・ホイッスルを学ぶ:よく聞かれる3つの質問

ロー・ホイッスルに興味を持ったら、手に取って吹いてみたいと思うかもしれません。少しご紹介するために、短い「よくある質問」を作りました。よく聞かれる質問の答えが見つかるでしょう。

またIrish Whistle Buyer’s Guideをご覧になれば、さらに案内と情報を得ることができます。

私は手が小さい/指が短いのです。ロー・ホイッスルが吹けますか?

それは、どのくらい小さいかによります。
他にも演奏に必要な条件があります。

・どのキーのホイッスルを吹きたいのですか?
・孔と孔の間隔はどのくらいですか?
・孔の大きさ(直径)はどのくらいですか?

ほとんどのローDホイッスルは、すべての孔、特に下の3つの孔を押さえるのに指を広げる必要があります。この3つの孔の間隔は製作者によってかなり違っています。

理想的には、自分にピッタリのホイッスルを見つけるまで、様々なメーカーやモデルを試すことですが、ネットで買う場合は難しいでしょう。

ほとんどのメーカーは頼めば孔の間隔を測ってくれます。

自分の指を測るのには、指をできる限り開いて、人差し指の真ん中と薬指の先までの距離を測ります。それと、メーカーから送ってもらった数字と比較します。

もしあなたの指がローDに向かなくても、がっかりしないでください。全くダメなわけではありません。ホイッスルは形も大きさも様々です。F管のような、比較的高音のロー・ホイッスル(またはアルト)は大きさも小さめで、孔の間隔も狭くなっています。このようなロー・ホイッスルでは、無理して指を広げなくても、ロー・ホイッスル特有の美しい、耳に染み込む、優しい音を楽しむことができます。しかし、ほとんどのセッションはD調で行われていることは覚えておいてください。

もう1つの解決法はパイパーズ・グリップです。これは指先を指孔よりも先に延ばして、指をまっすぐにするやり方です。パイパーズ・グリップについては、My handy guide to the piper’s gripに詳しく書いてあります。

ロー・ホイッスルの前にソプラノ・ホイッスルを習った方がいいですか?

この質問に対して、良いとか、悪いとか言うことはできません。個人の好みの問題になってきます。幼い方はまず小さなソプラノ・ホイッスルで練習した方が簡単かもしれません。しかしロー・ホイッスルに惚れ込んだのなら、いきなりロー・ホイッスルに手を出すことに何も問題はありません。本当に好きな楽器を手にすれば、すぐに上達します。

初心者に最適なロー・ホイッスルは何ですか?

性能がよく丁寧に作られた楽器は、音がよく演奏もしやすいものです。最初から気持ちのいい音が出せれば、練習の意欲もわきます。

そのことを踏まえ、初心者向けのおすすめは、今のところKerry Optima Tuneable Low Dか、Setanta Low D Whistleです。

もし予算が問題になるのなら、またはロー・ホイッスルを吹くことに迷いがあるのなら、 Tony Dixon Polymer Low WhistleTuneable Low D Whistleなら初心者に丁度いいでしょう。

さらに上のレベルに昇れるようになったら、いつでも新しい楽器に買い替えることができます。

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