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ケルト音楽 はじめの一歩

伝統歌シリーズ「オールド・オレンジ・フルート The Old Orange Flute」

出典 pixabay

今回はちょっとマイナーですがアイリッシュの歴史をたっぷり詰め込んだ曲「The Old Orange Flute」を紹介します。
それにしても変わったタイトルですね、古いオレンジ(みかんの木製?)のフルートでしょうか。

まずは、ぜひ演奏を聴きながら読み進めてくださいね。


では、歌の内容をざっくりまとめてみます

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(店長のなんとない訳)

ダンカノンから近いティロン県にはとんだ騒動があったんだ
ボブ・ウィリアムズって威勢のいい若者は織物屋

プロテスタントのお祭りの時には、ボブは彼の古いフルートをドラムに合わせて吹いたんだ
みんな自分たちのハープやピアノ、リュートについて話せるけど、あいつの「古いオレンジの」フルートに比べりゃ大したこたぁないね

でもあいつは、なんとカトリックのブリジットって女と結婚しちまった
あいつはおれたちの伝統や宗教に背を向けたんだ

少年の言うことにゃ、あいつはコナハトに引っ越すって、荷物をまとめて、もちろんあいつの古いオレンジのフルートも持って行っちまった

日曜の礼拝で、過去について贖罪して、あいつのビーズを丁寧に数えたんだってよ
神父があいつのフルートの噂を聞いて、演奏を頼んだんだ

さて、あいつは演奏したさ
でもあいつのフルートはすっかり落胆しちまって、あいつに「プロテスタントの曲」しか吹かせなかったんだ

もちろん神父たちは仰天さ、そのフルートは異端者ってことで追放さ
神父たちはボブに新しいフルートを贈って、古いオレンジのフルートは
なんと火あぶりの刑に決まっちまった

そのフルートが燃やされた時、みんな聴いたんだ、炎の中から流れる「プロテスタントの曲」をさ。

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とまぁ、こんな歌詞でございました。
まずは用語を簡単に解説してみましょう。

ダンカノンは北アイルランドの大きな都市、ティロン県は小さめの町。
プロテスタントのお祭りは、「The Twelfth」と呼ばれる7月12日に開催されるお祝いで、演奏隊が行進したりするんだそうです。

さて、歌詞を読んだらなんとなくわかったかもしれませんが「古いオレンジ」というのは「伝統的なプロテスタント」と言ったニュアンスなんですね。
アイルランドの旗は「緑・白・オレンジ」ですが、「緑(カトリック)白(緩衝材)オレンジ(プロテスタント)」みたいな意味になってるんですね。緩衝材ってことはないかもしれませんが、この歌詞を見る限り、あながち間違っていない気もします。

続けましょう。
コナハトはアイルランドの西側にある町で、北アイルランドではありません=カトリック教徒の多い町ですね。

過去についての贖罪は、プロテスタントだったことを教会に謝って、カトリックに改宗した、というような意味、そして「ビーズを数えた」というのはロザリオ(十字架、こちらはカトリック教徒のご祈祷アイテムで、つけるべき石の数が決まっているので)の石を数えている=すっかりカトリック教徒、というわけですね。

どうでしょう、なんとも興味深い歌ですね!
まず、こちらはプロテスタント側から歌われた歌で、主人公は威勢のいい恋するボブかと思いきや、まさかのフルートなんですね。
アイルランドの昔の状況を描いた歴史ものとしても、なかなか面白くありませんか?

世界的人気歌手のエド・シーランが祖父母のことを歌った「ナンシー・マリガン」って歌がありますが、内容はそれに通ずるものがあります。
今回と似たような出来事が起きていますが、こっちの曲はフルート側から見た内容に、エド・シーランの曲は当事者から見た内容になっていて、比較すると楽しいんじゃないかと思います!

ちなみにですが、なんとなく歌詞の内容から、丁寧口調じゃない訳し方をしてみました。そっちの方が合うかと思ったんですが、どうでしょうね。

楽譜(外部サイト)はこちら

 
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