セント・パトリック・デー(センパト)といえば、みんながアイルランドの三つ葉のクローバー(シャムロック)やレプラコーン(妖精)、そしてアイルランドの国旗の1色でもある緑色の衣装を着て、なんならビールも緑、ベーグルも緑、川の水も緑、プロスポーツチームのユニフォームまで緑になる、まさに「緑の祭典」なわけなのです。(知らなかった方は、YouTubeで St Patrick’s day paradeで調べてみてくださいね) また、アイルランドの国旗の緑・白・オレンジはそれぞれ、カトリックの緑・仲良くしましょうねの白・プロテスタントのオレンジとなっているので、センパトが緑一色になるのはとても理にかなっています。
で、9世紀ごろから聖パトリックさんの日を祝うという文化はアイルランドで定着しているたうですが、その日に関連する色は、現在の緑ではなく「青」、それも鮮やかなスカイブルーだったそうです。(意外!)
いまGoogleで聖パトリックさんを検索しても、しっかりみんなの希望通りの緑色の服を着ている肖像画やステンドグラスしか見つかりませんが、実は初期の肖像画はすべて美しいスカイブルーの服で描かれていたそうです。また、彼の名前を冠した聖パトリック勲章(騎士道のひとつ、他の勲章にはそれぞれ別の色が割り当てられている。ちなみに緑はアザミ勲章)なるものもあるのですが、こちらも青色がメインカラーです。
これらは「聖パトリックブルー(St. Ptrick’s Blue)」とも呼ばれて、古くからアイルランドの象徴的な色として定着していたそうです。(実際、軍や政府、スポーツなどにも青をモチーフにしたものが多い、もしくは多かった)
では、いつから青センパトから緑センパトに変わったのでしょう。
それは、おそらくアメリカでパレードが始まったころだと言われています。
青=アイルランドというのは、アメリカに移住した人たち、またその次の世代の人たちにとっては、いまいちピンと来るものじゃなかったんですね。
その一つにアイルランドの愛称が「エメラルドの島」だったことが大きく関係しています。
「緑の方がいいんじゃね?」そんな言葉が一度広まると、アイルランドと緑の関係性を見つけるのに時間はかからなかったと思います。シャムロックは緑!カトリックの緑!(当時のレプラコーンは別に何色でもよかったけど)よく考えたら、レプラコーンって緑が一番似合ってるんじゃない?つまり、それってレプラコーンも緑が定番ってことでいいよね?いいですよね??
こうして、「緑の方がしっくりくる」という故国を離れた移民のみなさんによって、センパト=緑の祭典、という文化がアイルランド本国にも逆輸入された、というお話でした。
出典 pixabay