ご質問「オイリングについて」
オイリングについての補足説明をいたします。
木管楽器に問題を起こすのは水分そのものではなく、急激に水分量が変化することです。
フルートやホイッスルで水滴がつくのは常に管の内側です。
水滴は木に染み込んで木を膨張させ、膨張した内側と膨張していない外側との間に圧力が生じて木材にストレスがかかり、割れてしまいます。
極端に乾燥していたり、反対に極端に湿っていることが楽器にとってストレスになることは確かですが、水分が偏った状態で存在していることのほうが悪影響が大きいのです。
新しい楽器はまだほとんど演奏されていないので、いきなり長時間演奏をすると良くないことは知られていますが、同じように、使い込まれた楽器であっても長期にわたり演奏されていない場合もまた同様の注意が必要です。
続いてオイリングについてですが、オイルは水と同じように木部に浸透するため、木材を膨張させますが、蒸発の速度が水分より遅いため、膨張と伸縮の速度がゆるやかで木に負担がかかりにくくなります。また、水は油をはじきますので、演奏中に発生する水滴が浸透しにくくなり、演奏中の水分による変化がゆるやかになります。オイリングをするのは、そのためです。
頻繁に演奏に使用している楽器であれば、水分量が安定しているため、急激な変化が起こりにくく、オイリングをする必要性はそれほどありません。