現在、カートには商品がありません
カートの中を見る
ご利用ガイド お問合せ

ヨーロッパのたて笛の世界

サミングとリコーダーの誕生

おそらく古代のヨーロッパにおいて、縦笛も横笛も、前面にいくつかの孔が開いたものだけが存在していたのでしょう。
6つの指穴が開いていれば、全部閉じた場合も含めると7音音階が得られますし、クロス・フィンガリングや指孔を半分閉じることによって、正確ではないものの、ある程度の半音階も演奏することができます。

このような仕組みの笛は19世紀まで主流であり続けました。
たとえばバロック時代に演奏された横笛トラヴェルソは、クロス・フィンガリングで唯一半音を得られない最低音の半音上(D#)にのみキーを付けていますが、基本的には19世紀までこのようなシンプルな笛の構造を引き継いでいます。

横笛においては、音程が不正確でも、奏者のアンブシュア、具体的には息の角度や歌口との距離を変化させることによって音程を幾分か調整することで正しい音程を得ることができます。
ところが縦笛では音程は奏者の息の強さで調節するしかありません。
とはいえ、演奏中にそれぞれの音に応じて機敏に息の強さを変えるのは実用的ではありません。

転調や臨時記号のない曲であればホイッスル族でも問題なかったのですが、ルネサンス時代以降、音楽が複雑になるにつれて、半音階への音程の正確さが求められるようになりました。
また、ホイッスル族において高音域を息圧に頼るということは、高音域では音量を小さくできないということです。
小さく吹くと、下のオクターブに転落してしまうのですから。
それは、音楽的な表現力の上で欠点と感じられるようになりました。

ここは筆者の推測ですが、このような「欠点」を補うために、息に頼らずともなるべく運指によって正しい半音が得られるようにホイッスル族の笛の指穴や内径のデザインを改良したのではないでしょうか。
これが、ホイッスル族とリコーダーとの分かれ目となりました。

hatao 
  • 友だち追加