フルート吹きが「フルーター」と呼ばれていた時代、とは言ってもその時代のフルート吹きはみんな木製を使ってた。
そこから進化して、現在のベーム式って呼ばれるキーありフルート(右写真)が発明されて、それがそのうち金属製になっていった。
で、多くのフルーティストはそちらに流れていった。
じゃあ、アイリッシュはなんで金属に流れていかなかったんだろう?
それはケルト音楽を演奏する限り、木のフルートの方が都合がよかったからなんだね。(単に最新式フルートが長い間伝来しなかったのかもしれないけど…)
銀色フルートは、全部の指孔をキーで押さえる仕組みなんだけど、木のフルートは直接指孔を押さえることができる。
指で直接押さえられるということは、「スライド」といって指を指孔から少しずつ離していく(or 押さえていく)ことで音の継ぎ目をなくす技法だったり、指を使ったビブラート(開いてる指孔をパタパタパタ)が自在に使える、という伝統音楽には欠かせない技法が使えるという大きな利点がある。
当然、昔は全員が木製だったのでジャンルや国を問わず、みんなこの技法を使っていた。(と思う)
そしてケルトっ子は、みんなが徐々に金属フルートへと変化を遂げる中で、使われなくなった技法を、今もなお保存しているというわけ。
また、キーなしフルートにはもう一つ、大きな利点が…。
それは利き手を選ばないということ。
木製のアイリッシュ・フルートを演奏する人の動画を見て、何か違和感があるな?と思った時に、「フルートの構え方が逆!」と気づくことが、たまに結構あります。
クラシックの住人(店長もこのひとり)には発想すらない左利き構え。
右利きにも、そして左利きにも変な強制力を持っていない「素朴な」アイリッシュ・フルート。
なんとなく、吹きたくなりませんか?