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ケルト音楽 はじめの一歩

伝統歌シリーズ「ダニー・ボーイ Danny Boy」

アイルランド音楽で最も有名な曲のひとつ、それがこの「ダニー・ボーイ」もしくは「ロンドンデリーの歌」です。
エルヴィス・プレスリーも愛したと言われるこちらの曲、詳しくは知らなくても、メロディは聴いたことある!という方も多いのではないかと思います。


では、歌の内容をざっくりまとめてみます

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(店長のなんとない訳)

ああダニー、谷や山から聴こえるバグパイプの音が呼んでるよ
夏が過ぎて、バラも枯れ落ちる中、あなたは行ってしまい、私は残らないといけない

でもきっと戻ってきて
雪の積もった冬になってもいいから

日の当たるところか、日陰の中に私はいます
ああダニー、愛しています

すべての花が枯れ落ちた中、あなたが帰った時に
もしも私がこの世にいなくても
あなたは私の眠る場所を見つけられます
そしてひざまづいて別れを言えます

私には、あなたが私のお墓に来てくれたことが聞こえる
暖かく優しい雰囲気につつまれる

あなたはそこで
あなたも私を愛していたと言ってくれるのです
私はあなたが帰ってくるまで
静かに眠っています

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出典 pixabay

さて、悲しさマックスの歌詞でございますが、こちらの名曲には二人の人が携わっています。

まずはこちらのメロディを作ったのはローリー・D・オカハン Rory Dall O’Cahan さん
彼は1600年代の盲目のハープ奏者だったと言われています。
なんでも、先祖代々の土地を英国人に奪われて、なんだバカヤロー、こんちくしょーと、そんな思いを込めて書いたのがこの曲だと言われています。(はっきりとした証拠は見つかっていませんが、一番有力な説だそうな、もう少し詳しい経緯は後述)

このメロディは「オカハンの嘆き」と呼ばれ、その美しい旋律からミュージシャンたちの人気を得ました。

さて、時が過ぎまして1900年代。
英国の弁護士 兼 作詞家のフレデリック・E・ウェザリー Frederic Edward Weatherly さんが、いい感じのバラード歌詞を書き、別のメロディに乗せて発表しました。
でも、これは「そうでもなかった」ようで、作詞した本人も自分の歌詞にもっとマッチするメロディがないか、ずっと探してたそうです。
そんな時、彼の義理の妹から「オカハンの嘆き」のことを聴き、それを兄に紹介したことで、ここに現在まで愛されている「ダニー・ボーイ」が完成した、というわけです。(こちらの同じメロディに別歌詞がついたバージョンが100以上も存在するそうです。オカハンさん、グッジョブです)

基本的には出征する息子 or カレとの別れの曲という風に解釈されていますが、こちらはお母さん・お父さん、兄弟姉妹、親友、そしてパートナー、どの視点からでも心を込めて歌える、なかなかオールマイティな歌詞が人気の秘訣です。
さて、ダニー・ボーイには「ロンドンデリーの歌」という別名があります。

こちらの曲(ダニー・ボーイの歌詞じゃないバージョン)がはじめて出版されたは1855年と言われていて、その文献には作者不詳とした上で「ロンドンデリー・エア」と明記されています。(書籍は"The Ancient Music of Ireland”で57ページに掲載)

さて、この編纂者のペトリーさんという方にこの曲を教えたのは、ロスさんという方で、そのロスさんにこの曲を教えたのは…という感じで研究者のみなさんが一生懸命調べた結果、その大元になったのが「オカハンの嘆き」ということがわかったそうです。

そんなわけで「ロンドンデリーの歌(エアー)」という名前の方が最初に登場していて、それにあとからダニー関連の歌詞をつけたから、名前がふたつあるわけですね。

ロンドンデリーは北アイルランドにある大きめの都市の名前だそうですが、当然アイルランド愛の強い人たちには不評です。(名前にロンドンってついているんでね)
「まぁまぁ、そこまで気にしないでいきましょうよ」派の人と、「いやいや名前は大事ですから、ただのデリーにしましょうよ」派の人の間で争いもあり、「ダニー・ボーイ」という名前を使う方が平和かな、と考える人も多々いるのかなと思います。

そんないろんな人の思いが詰まったオールマイティな名曲のお話でした。

楽譜はこちら

 
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