ガリシア音楽で使われる楽器「フィドル」
フィドルはサンフォーナと同じく、伝統的には盲人が街で演奏する楽器で、ガイタのような花形の楽器ではありませんでした。しかし、このような伝統も現代化とともに姿を消します。
最後の盲人楽師、ビラーレス村のフロレンシオ(Florencio dos Vilares)
しかし、スペイン民主化以降のフォークリバイバルの中で、クラシックバイオリンの教育を受けたフォークミュージックの演奏家が登場します。カルロス・ヌニェスのブズーキスト・ギタリストのパンチョ・アルバレス(Pancho Álvarez) は、前述のフロレンシオのレパートリー演奏をライフワークにしており、数々のアルバムを発表。
21世紀に入ると、同じくカルロス・ヌニェスのバンドでフィドルを演奏していたベゴーニャ・リオボ(Begoña Riobó) が、自身のバンドを結成し、ガイタなどフィドル以外の様々なレパートリーを取り入れたアルバムを発表します。
そしてリオボと共にビーゴの伝統音楽学校で教鞭を取るアルフォンソ・フランコやアンショ・ピントスらが中心となり、フィドルの普及と子どもの育成を目的とした団体ガリシア・フィドル(Galicia Fiddle) を設立し、フィドルキャンプを中心とした様々なイベントを開催しています。
現在ではガリシア・フィドル出身の新しい世代のアーティストが登場し始めており、セッションなどの場でも、フィドルは花形の楽器となっています。