周りの人が気が狂いそうになるくらい、ホイッスルを吹き続けてください。
赤信号で止まるとき、テレビのコマーシャルの間、いつでもどこでもホイッスルを吹いてください。
奥さんや家族をホイッスルの音で大騒ぎさせてください。
これほど心を若返らせるものはありません。
(笛奏者ジョーニー・マッデン)
始めたばかりの人へ、最高の演奏を聴いてください。
そして、がんばってください。
1日に15分だけしか練習できなくても、1年間の進歩は驚くものがあります。
もう1つ私が学んだことは、始めるのに遅すぎることはないと言うことです。
たとえ1曲しか吹けなくても、それで得られる満足は、大きなものです。
本当にそうです。
(笛奏者ジョーニー・マッデン)
レッスンでの教え方は、クラークの教本に入れることが出来たものよりはずっと拡大されていますが、考え方は同じです。
一度に情報を与え過ぎて、生徒を戸惑わせたりしません。
ゆっくりとした速度で、簡単なことから複雑なことへ、一歩ずつ進めて行くのです。
最終の目的は、それぞれの生徒が音楽的に自立できる状態に達することです。
つまり、どんな素材からでも、どんな曲でも学ぶことが出来るということです。
(笛奏者・研究家ビル・オックス)
最初、楽譜の読み方の基本を教えますが、耳のトレーニングにも時間をかけます。
曲を少しずつ出して、一度に1フレーズずつ区切ると、耳で聞いて吹いたことのない人でも、比較的容易に出来るようになります。
装飾は、何期か簡単な曲をやった後で教えます―その中にはアイルランドの様々なダンスのリズムを紹介することも含まれています。
装飾を深く学ぶ前に、しっかりしたリズムのセンスとフレーズ感を身につけることが重要なのです。
(笛奏者・研究家ビル・オックス)
自分で気持ちよく吹ける以上に速く吹こうとしてはいけません。
ティン・ホイッスルを吹く時は、気持ちがいいという感覚を養ってください。
スピードは、時間がたてば、徐々に、自然に身についてきます。
無理に速くしようとすれば、音楽の喜びには結びつきませんし、リズム感やフレーズ感を損ないます。
曲を美しく聞かせるためには、そんなに速く吹く必要はないのです。
(笛奏者・研究家ビル・オックス)
一番習得しにくいのは、呼吸だと思います。 指使いは、まだ簡単なほうです。 空気が、肺から口へ、そしてホイッスルの小さな円筒の中へと入って行く流れを、しっかりとコントロールしなければなりません。 このことを理解している人は、残念ながらあまりいないのです。 「吹く」というより、ホイッスルに空気を「押し込む」ということが理解できると、大きな進歩になります。 これが技術的な面です。
(笛奏者サラ・ボーハン)
もうひとつ、私が強調しているのに生徒がよく手を抜くのが、「CD(もちろん生の音楽も)をよく聞く」ということです。 私がホイッスルを始めた時、フルートやホイッスルばかりでなく、フィドルの人の録音を繰り返し繰り返し聞いたものです。 それ以外にどうやって、マスターしたいと思っている「言語」の微妙な意味合いやニュアンスを理解できるでしょうか? それでは、何も読んだこともないのに書こうとしているようなものです。
(笛奏者サラ・ボーハン)
ずっと言い続けていることがあるのです。
たとえば、誰かが、バグパイプをやりたいと言いますね。
私はホイッスルはやったことがありますか、って聞くんです。
どんな楽器でも、まず、ホイッスルから始めるのがいいと、本当に思います。
(笛奏者パディー・モロニー)
もし音楽をするのが初めてなら、何か楽器をするのが初めてなら、そして、ピアノとか、フィドルとか、フルートとか、とにかく何でもやってみたいと言うのなら、まずホイッスルです。
ホイッスルは音階構造を見抜く力を与えてくれます。
最初の楽器として、まずはホイッスルです。
すばらしい楽器ですよ。
(笛奏者パディー・モロニー)
単にメロディーの大まかな枠組みを覚えるだけなら、どんなやり方でもいいと思います。
レコードを聴くのでも、楽譜を見るのでも、音楽家から1対1の指導を受けるのでもいいのです。
何でもいいのです。
(笛奏者L.E.マッカロー)
でも、一旦、曲を覚えたら、許容できる範囲の伝統的アイリッシュ「スタイル」で表現できるようにならなくてはなりません。
言ってみれば、本でフランス語を学ぶのも結構。
でもやがてフランス人を相手に話して、フランス語らしくなっていかなければならない。
楽譜から「スタイル」を学ぶことは出来ません。
それはクラシックからパンクやアンデスのサンポーニャに至るまで言えることです。
(笛奏者L.E.マッカロー)
楽譜ではある種のテクニックの要点は書き表すことが出来ますし、私もオキャロランの難しい曲の楽譜を調べて、メロディーを覚える前にメロディーの青写真を得ることもあります。
でも最後には耳を鍛えて、あなたが演奏したい曲の手法のために、スタイルの要素を聞き取って再生できなければならないのです。
最終的には、こうしてあなた自身のスタイルを確立できるようになるのです。
それは無意識に起こるかもしれませんが、必ず起こるのです。
いずれにしろ、どんなところからでも曲を学んでください。
(笛奏者L.E.マッカロー)
私が変奏するやり方は、マット・モロイやアルタンなどの伝統音楽のアルバムを出して、一緒に演奏してみるというものでした。
曲を覚えて、CDと一緒に吹けるようになったら、音量を大きくして、バンドにフルートが2人いるように吹いたのです。
CDにはないハーモニーのようなことをやって、それがうまくいくと少し変奏してみようとしました。
変奏とかハーモニーで大切なことは、上達するためには馬鹿な真似をしてみなければならないということです。
(笛奏者ブライアン・フィネガン)
あなたが自分の限界の中だけで演奏していたら、それだけのことです。
でも、何かやってみて、「これはダメだ。馬鹿げている」と思ったとして、実際うまくいかなかったとしても、100回挑戦したら、いつかはうまくいくのができるのです。
1回か2回やって諦めたら、もうそれでおしまいです。
私は、成功するまで何回でも何回でも馬鹿げたことを繰り返しました。
(笛奏者ブライアン・フィネガン)
私も演奏していないときはよく歌っていました。
私が外を歩いていて、静かなところなら、ハミングで歌ったり、口ずさんだりして、突然音符が形を成し、キーが決まり、私は声を出して変奏を始めていたのです。
(笛奏者ブライアン・フィネガン)
もうひとつヒントは、落ち着いて変奏を考える環境、誰にも邪魔されない環境を作ることです。 家ではできますね。
でも、もしセッションやギグをしているのなら、あなたはこの環境を作らなければなりません。
時には創造的なことをするチャンスを得られないこともあります。
それをしていい場所かどうか考えなければなりません。
変奏に積極的なミュージシャンと一緒にいるというのも重要なことです。
(笛奏者ブライアン・フィネガン)
うまくいかなかったら、吹く時、できるだけ具合のいい姿勢を探してください。
● 立っていても座っていても、上体をまっすぐにしてください。
● フルートを水平にしてください。あるいは、少なくとも唇と平行にしてください。
うまくいかなかったら、できるだけゆったりと呼吸する練習をしてください。
演奏するたびに、そこに注意してください。
(笛奏者ジャン=ミシェル・ヴェイヨン)
息を切らしたまま曲を吹き始めてはいけません。
ゆっくりと何か思いつくままに吹いて、心を解き放って、鼓動をしずめるように集中してください。
そして、正しく呼吸していると思った時が、フルートを吹く時なのです。
ただフルートを吹くと考えただけで、心地よくなれるのです。
(笛奏者ジャン=ミシェル・ヴェイヨン)
いい音を出すためには引き締まったアンブシュアが必要です。
トーン練習はほかの事と切り離して、個別にする必要があります。
ロングトーンの練習をして、納得のいく音が出るまで、アンブシュアを調整してください。
自分の演奏を録音してください。
ジグやリールを吹いて、聞きなおしてください。
そうすれば、いい音を出しているかどうか、すぐにわかるでしょう。
(笛奏者エイモン・コッター)
フルートは、音色の質を自分でコントロールできる数少ない楽器のひとつです。
ルーダル&ローズ(アンティークのなかでは最高の楽器)を手に入れることができるかもしれません。
でも、アンブシュアが悪ければ、ひどい音になってしまいます。
(笛奏者エイモン・コッター)
アイルランド音楽のあらゆる面は、それぞれ別個に練習しなければなりません。
夕方1、2時間リールを練習してもいいプレイヤーにはなれません。
フルート演奏のあらゆる面を練習しなければならないのです。
(笛奏者エイモン・コッター)
私のクラスでは、身体的なことも強調します。
横隔膜の使い方、体力、持久力、どうすれば、3時間、4時間吹き続けてもぶっ倒れないか。
横隔膜を鍛えるために、ひとつの音をできる限り長く吹いてください。
シャスキーンでは、私たちは3、4時間ぶっ続けで演奏します。
(笛奏者エイモン・コッター)
もし、あなたがクラシック・フルートから木製フルートに転向したのなら、もっと穏やかに演奏することに慣れているのではないでしょうか。
木製フルートはまったく違う楽器なのです。
演奏するのにもっとエネルギーを必要とします。
ベーム式金属フルートのように容易に反応してくれないし、とにかくもっとパワーが要るのです。
もっと、けしかける様に吹く必要があります。
(笛奏者エイモン・コッター)
ジグにはあまりロールを入れてはいけません。
ジグにロールを1つ入れると、それは1小節の半分を占めて、曲の基本的な形が見えなくなってしまうからです。
まあ、好みの問題ですが。
(笛奏者エイモン・コッター)
演奏するときには、自分自身に忠実になってください。
誰かを真似しようなんて思ってはダメです。
そんなことでは安心して演奏しておれません。
あなた自身のスタイルを築いていってください。
(笛奏者キャサリン・マケヴォイ)
装飾(カット、タップ等)が安定した拍で出来るようコツコツと努力してください。
メトロノームを使って、あまり速すぎないテンポで練習してください。
そうでないと、自分の間違いをさらに強化してしまいます。
自分で丁度いいと思うよりさらにゆっくり練習し、自分の演奏を聞いてください。
鏡の前で練習してください。
(笛奏者グレイ・ラーセン)
その理由は
(1) あなたの手、肩、腕、首、アンブシュアがどうなっているか見ることが出来ます。
(2) 音がよりクリアに跳ね返ってきて、自分がしていることがよりはっきりと聞き取れます。
(3) さらに重要なことには、集中力を保つことができます。
宙を見つめているだけだと気が散りやすいものです。
フルートは演奏している姿を自分では見ることができないという弱点があります。
(笛奏者グレイ・ラーセン)
よい練習は90%集中力で決まります。
また、疲れないで長い間演奏するのに特別な肺活量は必要ありません。
そうではなくて、息を効率的に使うことを学ぶ必要があり、それは主にアンブシュアの機能、顔の筋肉を緊張させずに唇の間に本当に小さなアパチュアを作れるようになることです。
もちろん正しい姿勢と横隔膜呼吸がとても大切なのは言うまでもありません。
(笛奏者グレイ・ラーセン)
練習している曲の音源を手に入れてください。
覚えたい曲を立て続けに数回分テープに録音してください。
そうすればそのつど巻き戻す必要がなくなります。
もちろん、耳で覚えるのです。
(笛奏者ジョン・スケルトン)
毎回、覚えたばかりの前回の曲を繰り返してください。(そっくりそのままに)
毎回目標を定めてください。
たとえば、Bパートを覚えるとか、聞いたばかりのかっこいい変奏とか。
それに集中して、漠然と吹き流すことは避けてください。
(笛奏者ジョン・スケルトン)
曲全体を覚えてください。
あいまいなフレーズがあるうちに、「覚えた」とは言わないでください。
すべての音符が正しい場所に落ち着いたら、リズムも定まってきます。
100曲をまあまあに覚えるより、10曲を完璧に覚えるほうが大事です。
(笛奏者ジョン・スケルトン)
あきらめないでください。
やがてうまくできるようになります。
くだらない「ケルティック」らしき音楽を超えてうまく吹けるようになり、上質な伝統的演奏を理解できるようになったら、そうすればたぶんこれから何年も聞いたり演奏したりしていけるでしょう。
(笛奏者ジョン・スケルトン)
覚えたい曲に出会ったら、いきなり飛びついてはいけません。
何度も何度も、何日間も、車の中で、皿洗いでも何でもしながら、聞いてください。
その頃には(少なくとも曲の大部分を)ハミングで歌えるようになっているでしょう。
(笛奏者ジョン・スケルトン)
それからフルートに移し変えるのはかなり容易です。
ある程度経験をつんだ奏者は、自分の音を求めてください。
そうすればあなたの演奏は独自のものになり、他の人の物まねではなくなります。
(笛奏者ジョン・スケルトン)
ブルターニュのジャン-ミッシェル-ヴェイヨンを聞くことをお勧めします。
彼は今日のシンプルシステムのトップを行く存在だと思います。
全体的に明快で、リズミカルで斬新です。
もちろん、彼がしていることすべてがアイリッシュの枠組みに入るとは限りません。
しかし、彼は自分自身の演奏について考える契機を与えてくれるでしょう。
(笛奏者ジョン・スケルトン)
高いDを吹くとき、ほとんどの人は一番上の指穴を開けるが、それは必要ない。
それでは余分な動きをすることになってしまう。
低いDと同じ指、つまり、すべての穴をふさげばいい。
私自身(インタビューアー)は高いDの時、一番上の穴を開けたほうが、ほんの少し余計にフルートが「歌う」ような気がするが、それはゆっくりした曲やエアーの時に感じられるだけで、ダンス曲の場合は問題にはならないと思う。
(笛奏者ジャック・コーエン)
高い音を吹く時には、低音よりも「呼吸をゆるめ」、楽に吹くということを覚えてほしい。
フルートはホイッスルとは違う。
強く吹くことで第2オクターブの音を出すのではない。
そうではなくて、アンブシュアを狭くするのだ。
(笛奏者ジャック・コーエン)
ジャックの演奏では、特に下のDに降りていく時、第一オクターブは第二オクターブより少し大きく聞こえる。
オクターブについて言えば、今日の多くの奏者は低い音を強く吹きすぎるので、「曲がすべて1オクターブ上に上がってしまったみたいだ」とジャックは嘆いている。
ジャックの見解では、それがメロディーを台無しにしてしまう。
(笛奏者ジャック・コーエン)
(呼吸について)「四分音符では息を吸ってかまいません。息を吸わなければならないわけではないが、必要なら息を吸っていいのです。」
また、Aパート、Bパートの最後から2つ目の小節で息を吸うのが賢明であるとも言っている。
そうすれば、最後まで力強く吹くことができる。
(笛奏者ジャック・コーエン)
曲を覚えるということについて:
「1週間に新しい曲を2曲以上は多すぎます。完全に覚えることはできません。」
ジャックが言うには、多くの人がたくさんの曲を覚えているように見えるが、実は中途半端に覚えているに過ぎない。
このワークショップでジャックは13曲教えてくれたが、「本当に理解して、上手に吹けるようになるには、何年もかかるでしょう。」と言っている。
(笛奏者ジャック・コーエン)
(フルート吹きのお父さんはどんな風に教えてくれましたか?)
父の指を見るのです。
父は左利きだったから見やすくて助かりました。一度に少しずつ吹いて、私に同じところを吹かせるのです。そうやって次々と教えてくれました。
(笛奏者マイク・ラファティー)
父はロールを使っていましたが、私にやって見せるときは、ロールはしませんでした。「先にロールを練習したらダメだ。ロールは後から出来る」と言って、ただ音符のままにシンプルに吹いたのです。
(笛奏者マイク・ラファティー)
多くのプレイヤーが「ダンスの伴奏をしているのだから、速く吹かなくちゃならない」と言っているのを聞くでしょう。
その言葉がすっかり体にしみ込んでいますね。それで、いつでも速く演奏してしまうのです。
私はゆっくり演奏したいと思います。そのほうがいい音が出せます。より感情をこめることができます。より満足を得ることができます。演奏していてより楽しいでしょう。
ジョー・マッデンも言っているようにより豊かな演奏が出来るのです。
特に曲を覚えている時には、十分にコントロールできるようになるまでは、ゆっくり演奏するべきだと思います。
でもどんな曲でも、上手に吹けるようになっていてもいなくても、ゆっくり丁寧に吹けばより美しくなるのです。
(笛奏者マイク・ラファティー)