アイリッシュやガリシア音楽にインスピレーションを受けながら、全曲オリジナルのアルバムを完成させた京都のバンド「Mine(マイン)」。
リーダーの清水俊介が作り出す、マイン節と言いたくなるマイン特有のメロディライン、そしてギターやピアノなどの和声楽器を用いない特異な編成が生み出す浮遊感。
日本発のケルト音楽を意識する彼らの音楽の原点、そして音作りについて聞いてみた。
マイン「世界樹」の中から4曲の楽譜を無料で公開します。
ご自身の楽器でもマインの音楽を奏でて、CDをもっと楽しんでください!
笛師、清水俊介を中心に2003年に結成される。
当初は京都の山奥にある鍼灸大学の軽音楽部で揃った4人組だった。
メンバーそれぞれロックやポップス、クラッシックや民族音楽などバラバラの音楽畑だったのが、アイリッシュバンドのLúnasa を聴いてのめり込み、アイルランド音楽にはまっていった。
それからメンバーの入れ替えを経て現在のメンバーに落ち着いている。
Mineは、京都を中心に活動を重ね、CD発売ツアーでは日本各地での演奏を展開している。
2006年1stアルバム「Minability」発表 (廃盤)
2008年2ndアルバム「ethno」発表
2013年3rdアルバム:「世界樹」発表
清水俊介
・ヘルムート・ハンミッヒ フルート(Helmuth Hamming Flute)-C&B foot #130
・ステファン・モルヴァン フルート(Stephane Morvan Flute)
・ジョナサン・スウェイン ホイッスル(Jonathan Swayne Whistles)
山元一作
・フィドル
建部剛
・コントラバス
守崎肇
・カホン(Cajon)
・リク(Riq)
・ダラブッカ(Darabuka)
・グレートバスリコーダー(Great bass recorder)
・ハープ(Harp)
・ギター(Guitar)
マインの音楽はとても純粋に、素直に聞こえる。
日本でケルトの音楽を演奏している音楽家を何人も知っているが、その中でも一番自然な、呼吸をしているかのような演奏だと思う。
また、グループ名にもSamuraiと入っているように日本人らしい、日本人としてのケルト音楽を追求しているバンドだと言うことが楽曲からも、演奏からも強く感じる。
だからマインの音楽は私たちの耳に心地よい風のように聞こえてくるのだろう。
初めてライブでマインの音楽を聴いたとき、メンバーの人の良さ、穏やかさ、そしてそんな人たちの中から聞こえてくる心地よいケルト音楽に感動した。
特に他のミュージシャンと違うと感じたのは、初めて聴く感覚ではなく、日常的に聞こえていたのではないかとも思える自然な安心感だ。
構えて聴く必要がなくて、純粋に一体になれる気がした。
また、メンバーの間に流れる空気感や波長がよく合っていて全員のノリが溶け合うように創り出されていくのがとても魅力的だ。
ライター 三浦郁実
1. 山の森、森の風、風の歌
日本とケルトのどちらの空気も感じることが出来るセットだ。清水さんのロー・ホイッスルのメロディーから始まるこの曲は、一気にマイナスイオンに包まれるようで、4人の音の紡ぎ合う様が心地よい風になって私たちを取り囲んでくれる。
2. Hallelujah
低音が様々なイメージを膨らましてくれる。ふわふわとして、かつしっかりと地面を踏みしめている感覚はどこか不思議でかっこいい。
3. Loch Biwa
メロディーが素晴らしい、私のお気に入りの一曲だ。晴れた朝に、鳥の声や子供の笑い声を聞き、通り雨が来たかと思えば、再び太陽が顔を出して。平和な日常のような穏やかな曲だ。
4. Cananga Odorata
肇さんのハープが美しく、途中から4人の音が絶妙に絡み合い、ハーモニーが美しい。2曲目は楽しげでスキップでもしたくなるだろう。
5. Detour
主役はフルートだろう。コーヒーのようにほろ苦く、大人のかっこよさがにじみ出ている。あえてフィドルを入れていないこのセットは他のトラックとはひと味違う雰囲気だ。
6. Night Flute
この曲を流しながら夜道をドライブしてみたらきっと最高だろう。建部さん(コントラバス)が創り出すグルーブ感たっぷりの、少しジャズのようなこの曲を是非楽しんで頂きたい。
7. Vaudevillian
この曲もまたとてもかっこいい。色々な楽器が登場し、もはや誰がどの楽器をやっているのか謎である。テンポもどんどん変化しながら私たちを翻弄してくれる。
8. Ahmet & Ayşe
涙も出てくるような優しい、柔らかな感触のこの曲は一番好きな曲だ。コントラバスリコーダーやコントラバスの包容力のある音色がすばらしく誰もが癖になるに違いない。
9. Yggdrasill
コントラバスとコントラバスリコーダーの異国情緒あふれるオープニングで始まり、そこに憎いほどかっこいいフルートとフィドルが重なっていく。 フィドルが先頭に立って疾走感を創り出し、そうかと思えばフルートが引き継ぎ、気分は前へ。さらに先へ。