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ケルトの笛 インタビュー

グレン・シュルツ(Glenn Schultz)

※ この記事は、ホームページChiff and Fippleより、著作権保有者のDale Wiselyの許可を得て翻訳、公開しています。英語翻訳:村上亮子

グレン・シュルツは、2005年6月8日に死去されました。
彼はティン・ホイッスル界の大切な仲間でした。
ご冥福をお祈りします。
これは、数年前に行われたインタビューです。

グレン・シュルツはミシガン在住で、ジェネラルモータース勤務。
旋盤などの機械を操作して働いている一方、すばらしいホイッスルと、時にはフルートを製作している。
彼が作るのは「シン・ウィーズル」という、金属の縁のついた精巧な木の手作りホイッスルで、常に世界のホイッスル奏者の憧れの的である。
それから、よく知られた「ウォーター・ウィーズル」というすばらしいが手頃な値段のホイッスルもあり、白いポリ塩化ビニール管製である。
運がよければ、配管コード番号(アメリカの配管規格コード)がボディーについたものを手に入れることも出来る。
グレンの笛は、若い人の言葉で「やばい」のだ。実にいい音だ。
私はウォーター・ウィーゼルのDとE♭を持っているのが自慢だし、今はハイEを手に入れようと思っている。

何ヶ月か、私はグレンとEメールをやり取りし、彼のすばらしい詩の一部を読む機会を得た(そう、彼は詩も書くのだ)。
やっとのことでChiff&Fipple のこのインタビューに応じてもらったが、他のインタビューとはちょっと違った形でやりたいと思う。


私はグレンにその人となりについて、語ってもらうように依頼した。

私は、1941年に3人兄弟の2番目に生まれました。
兄弟は2人とも、もう亡くなっています。
5歳の時からピアノ・アコーディオンを習っていて、主にクラシックの教育を受けました。
でも今でも、アイリッシュバンドで小さなピアノ・アコーディオンを弾いていますよ。
末の娘と一緒に14年間もね。
自分の子供と音楽ができるなんて、何ものにも代えられないことです。
何とか高校を卒業して、60年代初めにクライスラーの工具製作の見習いになりました。

1977年にジェネラルモータースに落ち着くまで、色々職場を変えました。

その間、様々な楽器を学んできました。
そのうちのいくつかは、かなり深くやりました。
娘は12歳の時、ホイッスルで私のグループに入ってきました。
私は娘に円錐形のボディーの木のアイリッシュ・フルートを作ってやると、約束しました。
悲しいかな、お金がなかったのです。
1年半後、最初の楽器が出来上がり、たった1つ作ってやめては、それまでの努力が無駄になると思いました。
いくつか作って、それから木のホイッスルを設計して、すっかりはまってしまって、さらに作りました。
ホイッスルを売り始めた頃は、1ヶ月で1本がいいところでしたが、今では注文に追いつきません。

Chiff&Fippleでインタビューされているホイッスル製作者の多くは、その仕事に影響を与えた手本がある。グレンも例外ではない。

たとえばアイルランドのユージン・ラムのような人から、多くを学びました。
今は亡きジョージ・ジェームソンは、私の人生の中でも特記すべき人です。
10セントのボールペンで手書きした長い手紙が、彼の飲み仲間のアート・ベナード(Art BenaDe)への関心をかき立て、ベナードは手書きの資料を残してくれ、それは、これからも生き続けるでしょう。(彼もまた故人となってしまいました)
その一部は本当に納得のいくものでした。
ベナードとは、手紙ですら交流はなかったのですが、彼は私のホイッスルのデザインになくてはならない人です。
ジェームソンの影響は計り知ることができません。
彼は私のホイッスル開発のすべての段階に関わってくれたようなものですから。
亡くなってさびしいです。最後にもらった手紙は今も机の中に入っています。

私はホイッスルを作る過程に関心がある。グレンが言うには、1ダースか2ダースのホイッスルを同時に作り、まとめて、1つ1つの製作過程をこなして行くそうだ。木製ホイッスルと違って、ポリ塩化ビニールは次の工程へ行くまでにすぐに固まってしまう。だから「ウォーター・ウィーズル」は特に急がなければならない。しかし、どのホイッスルにとっても、仕様書の許容誤差はほんのわずかだということを、グレンは言っている。グレンは最近有能な見習生との関係を修復し、これが制作に大きな助けとなるだろう。

一体どこから、配管用塩ビ管でホイッスルを作るという考えを思いついたのだろうか。グレンは独特の言い方で教えてくれた。

どんなガラクタから、様になるホイッスルが出来るかって考えただけさ。
荒物屋で、ポリ塩化ビニール管は安くて、いつでも手に入るしね。
それで目をつけたんだ。今のところ上出来さ。
以前は配管コード番号を目立つところにつけたまま作ったものさ。
窓や指穴から見えるんだ。
誰かが文句を言って、それからはアセトンで洗うことにしたんだ。
夏も冬も、うちの裏口でね。

グレンのことを少し知れば、彼のカラフルな個性がよくわる。
よかったら、彼のライフスタイルの要約を読んでみてほしい。

俺はジェネラルモータースで10時間働いて、うちに帰ってくる。
犬をなでて、メールを読んで、留守電をチェックして、何か飲んで、それから賃貸の家の裏へ行って、ウィーズルでまたひと仕事だ。自分のデザインのフルートを作ることもある。
犬が手伝ってくれるさ。
ごみを散らかしてくれるし、人が来たら教えてくれる。
時には芝生をめちゃくちゃにしてくれるし、皿はきれいに舐めてくれる。
俺のワインは飲まないし、あいつのおかげで毎日が楽しい。
ヤツは逃げないさ。
再婚して、しばらくして離婚した。
お互いに、一緒にうまく行けないと思ったんだ。
大きくなった子供が2人いて、生活のハリだ。
しっかりしたやつらだ。
他に何が知りたいんだ?
働いて、食って、働いて、書いて、働いて、寝る。
やっとこ、この笛を作ってきた。
今も昔も、助けてくれてきた人のおかげでね。
その気があったかどうかは知らないが。

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