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ケルトの笛 インタビュー

パット・オリオーダン(Pat O'Riordan)

※ このインタビューは、ホームページChiff and Fippleより、著作権保有者のDale Wiselyの許可を得て翻訳、公開しています。英語翻訳:村上亮子

パット・オリオーダン氏(Pat O'Riordan)  ティン・ホイッスル制作者について
by L.E.マッカロー

この文章について
1年ほど前、私はパット・オリオーダン氏のC、D管のコンサートホイッスルのセット手に入れた。
すばらしい楽器だった。
本当に気に入ったので、特別に木製のケースを誂えたほどだ。
(ちなみに、ケリー・マックギーの作だ)
それからしばらくして、幸運なことにパットと電話で話す機会があり、それ以来、交流を続けている。
パットは、彼の作る楽器と同様、愛すべき人だ。
だから、並外れてすばらしいホイッスル奏者で、作家で、教師で、学者で、詩人で、話し上手で、獣医でもあるL.E.マッカロー博士が、Chiff & Fippleのために、オリオーダン氏の仕事を紹介すると申し出てくれた時、私は本当にうれしかった。
デール・ウィズリー

※以下、L.E.マッカロー執筆

今月、私はフォート・ウェイン・アイリッシュ音楽祭で演奏し、ティン・ホイッスル製作者のパット・オリオーダン氏と再会する機会を得ました。
オリオーダン氏と初めて出会ったのは、1982年、私が西ペンシルベニアで開いたフォークミュージックキャンプに、彼が参加した時でした。
インディアナにもどった時、彼が世界でもっとも優れたホイッスル製作者になっているのを知って喜んだものです。

1981年に、フォート・ウェインの自宅のガレージで行われた簡単な「実験」から始まり、引退した技術者、パット・オリオーダン氏のアフター5の趣味は、本格的な国際企業に大きく花開きました。
1400本を越える手作りのティン・ホイッスルは、合衆国、カナダ、ヨーロッパ中の、目の高い人々に所有され、71歳のイングランドはコベントリー出身のこの男は、世界中から毎日押し寄せる注文に応じるのに、日々、多忙を極めています。

両親がアイルランドのリムリックから移住してきたオリオーダン氏は、「フルートとティン・ホイッスルが、ずーっと大好きだったんです。」と言います。

「20年ほど前、私はティン・ホイッスルを手に入れて、アイルランドの曲を練習し始めました。しばらくして、こう思ったのです。これよりずっといいホイッスルがあったらいいって。」

リー・マグネット・ワイアー社の27歳の従業員だった頃のオリオーダン氏は、機械工学の経験を利用し、最初の試作品を作りました。
「最初にしたのは、今までとは違うマウスピースをデザインすることでした。リコーダーのマウスピースに近いものです。」とオリオーダン氏は言っています。

「それから、2本継ぎの本体を作りました。どちらかというとフルートに似ていますね。マウスピースを本体の金属製のチューニングスライドにさしこむようにしました。丁度バロックフルートのようですね。」

オリオーダン氏は、マウスピースが優れたホイッスルの秘訣だと信じています。

「誰でも管は作れます。それには問題はないのです。
私が始めた時、ジェネレーションのホイッスルやリコーダーの断面図を作り、ウィンドウェイがどのようにできているか、見てみたものです。
私はちょっと変わった考えを思いつき、それは全体を通して、うまくいくように思えました。
しっかりと楽器を見て、切り開いて、よく観察しなければなりません。
ウィンドウェイはきわめて重要です。
もし2、3の違った素材で、厚さや他の点が同じものがあったら、ほとんど音の違いがわかりません。
ひとつは明るい音がするかもしれないし、別のはもう少し柔らかい音がするかもしれません。
でも、楽器に個性を与えるのは、間違いなくマウスピースなのです。」

ホイッスルのボディーに、オリオーダン氏は紫檀やエボニーやアフリカン・ブラックウッドやアルミや真鍮をつかってきましたが、様々な実験の結果、デルリンを好むようになりました。
高級なプラスティックで、マイケル・コープランドや、クリス・アベルもマウスピースの素材として使っているものです。
「これはいい、丈夫な材料ですよ。」と、オリオーダン氏は指摘しています。

オリオーダン氏は何度もアイルランドを旅して、実際の演奏家の間で、自分の作ったホイッスルを試験販売しました。
いつも消費者の反応に注意を払い、常に新しいデザインや素材の研究を怠らないのです。

「アルミの管は、にぎやかなセッションで他の楽器に負けない、演奏者が好む明朗で大きな音を出すことがわかりました。」そう言っています。

「アイルランドの演奏家にそのモデルを試してもらって、私はもっと反応のよいホイッスルが必要だとわかりました。
もっと指が動かしやすく、装飾がつけやすいものです。
それで、薄い真鍮のモデルを作りました。」

オリオーダン氏は現在、2つのモデルを作っています。
紫檀やアフリカン・ブラックウッドや、他の木材でボディーを作った「コンサートホイッスル」のC、D管。
それと、「トラベラー」シリーズ(C、D、Eb、ローF、G、E、Eb、D管)で、このシリーズは耐摩耗性のある黒く陽極酸化処理されたアルミのキーチューブ(key tube)を採用しています。
どちらのモデルも磨いた真鍮かニッケルのチューニングスライドがあり、補強のリングと布のケースがついています。

他に先んじて、オリオーダン氏は十数年前にロー・ホイッスルを作り始めました。

「A管とBb管から始め、G管、F管を作り、それから、E管、Eb管。今はD管を作っています。よく使われていますよ。ローCの試作品を作って、それでおしまいです。それより低いのは誰も興味ないでしょう。ものすごく長い指がいりますからねえ!」

オリオーダン氏の小さな工房は自宅のガレージにあり、1日4、5時間働いて、年間約120本のホイッスルを生産しています。
彼は中西部の音楽やクラフトの祭典に参加し、フォート・ウェインのジョニー・アップルシード祭のアトラクションを楽しみにしています。
(今年は、9月18-19日)

驚くことではありませんが、オリオーダン氏はその職人の腕を他の楽器にも用いていて、数種類のハープやギター、50フレットのダルシマーは、見上げたものです。
それでも、ティン・ホイッスルが彼の最初の、そして一番のこだわりで、「ティン・ホイッスルは少しの時間でできるし、何か新しいものを始めたかったら、何時間かあれば、聞いてみることができます。」

「そして、私は、今までに作ったホイッスルよりも、もっといいホイッスルができないか、試してみたいのだと思います。」

※ オリオーダン氏はすでに廃業しています。
彼のティン・ホイッスルは伝説的な名器として重宝されています。
どうしても手に入れたければ、海外のオークションを粘り強くチェックするしかないかもしれません。

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