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ケルトの笛 インタビュー

コリン・ゴールディ(Colin Goldie)

※このインタビューは、ホームページChiff and Fippleより、著作権保有者のDale Wiselyの許可を得て翻訳、公開しています。英語翻訳:村上亮子
 

※インタビューは2000年に行われたもので、その後バーナード・オーヴァートンは死去、現在はオーヴァートンのブランドはコリン・ゴールディー・ホイッスルに変更となっています。

コリン・ゴールディーは、世界で最高のホイッスル、ホイッスルの歴史の中で最も重要な人物であるバーナード・オーヴァートンの名を冠したホイッスルを手作りしている。
オーヴァートンとゴールディーは共にオーヴァートン・ホイッスルを製作しているが、製作作業は別々で、デザインに関しては共同作業である。
コリンは、オーヴァートンの伝統に基づくすばらしいホイッスルを製作するだけでなく、デザインの革新にも取り組んでいる。
コリンは最近引っ越して、ドイツに住居と工房を移している。

※左枠(インタビュアーデール)右枠コリン・ゴールディ

コリンさん、インタビューにお越しいただいて、ありがとうございます。

こちらこそ、ありがとうございます。

ホイッスルの演奏や製作の話に入る前に、あなたの音楽的経歴を教えてください。

5歳の誕生日の直前のクリスマスに、リコーダーをプレゼントしてもらいました。
学校で習い始めましたが、数ヶ月で落ちこぼれました。
楽譜が読めないので、曲を暗譜しようとしたのです。
曲をハミングして、それをリコーダーで吹こうとしたのですが、私はそれほど音感がよくなかったのですね。
数年間は吹いたり、やめたりしていました。
10歳か11歳のとき、自分でジェネレーションの高音のF管を買い、ホイッスルの方が指遣いが簡単だとわかりました。
それでホイッスルが私の最初の楽器の1つになったのですが、当時はまだテクニックについては全く知りませんでした。

子供のころは、どのようにフルートやホイッスルに関わったのですか?このような楽器に興味を持つようになったきっかけは何でしょうか?

毎年夏休み中ずっと、アイルランドのアルダラ(Ardara)に行っていました。
13歳か14歳のころ、ラジオで「ホースリップス」というバンドをよく聞きました。
兄のアンディーが彼らのアルバムを2~3枚買ったのですが、結局、私がすっかりハマってしまって、今では彼らのアルバムを全部持っています。
一番古いものは、じゃばら型の小冊子でした。
私はその中のフルートとホイッスルが気に入りました。

私が最初に聞いたのは“BookofInvasions”というアルバムで、ロック調でアイリッシュの曲もいくつかありました。
次に聞いたアルバムは“Happytomeet,Sorrytopart”で、アイリッシュの曲がたくさんありました。
一般的に言って、彼らの初期の作品は民族音楽の傾向があり、後の作品はロック調でした。

ところで数日前、妻のブリジットが「ホースリップス」の公式ホームページを見つけました。
関心のある方はどうぞ。

アンディーは他にもアルバムを買って、”Planxty”や“BothyBand”や “FeastofIrishFolk”がその中にありました。
私は”Planxty”の”Smesenohoro”に夢中になり、今でも聞いていて、その当時と同じ感動を覚えます。
マット・モロイのフルートは中でも飛び切りでした。
私はバラードもよく聞いていましたが、バラードの中にも、 よくホイッスルが使われていました。
このころケビン・ハードという熱狂的なアイルランド人に会いました。
(もし、ケビンのことをどこかで読んだら、メールをください。ホイッスルを進呈します)

私たちは2、3回セッションをして、私はギター、彼はホイッスルを吹きました。
彼は私にとっての最初のD管ホイッスルを2本くれました。
これで、自分が持っているレコードにあわせて練習できるようになりました。
これが、突破口でした。
私はすっかりハマってしまったのです。

十代のころ、”MovingHeart”がイギリスで演奏を初め、私はロンドンの彼らのコンサートにはほとんど全部行ったものです。
何度か楽屋までも押しかけました。
エネルギーにあふれた、すばらしいバンドでした。
彼らを通して私はロー・ホイッスルを知り、自分でも1つ買ったのです。

ホイッスルのほかは、何を演奏なさるのですか?

私はいつも様々な音色に関心があり、ここ20年、ホイッスル、ギター、フルート、ジャンベ(西アフリカの手持ちのドラム)、ブズーキ、バウロン、ディジュリドゥ(オーストラリアの木管楽器)や、色々な打楽器を楽しんでいます。

色々違った楽器を試してみるのは、とても面白いことです。
それぞれが、お互いの助けとなっているのです。

パーッカッションを学ぶと、どの楽器にも必要なリズム感が鍛えられます。
ディジュリドゥは呼吸法を教えてくれ、循環呼吸はホイッスルにも役に立ちます。

バーナード・オーヴァートンには、いつ、どうやって出会ったのですか?

初めて会ったのは1993年春の終わりごろでした。
私は真鍮の風呂のタオル掛けで、ローDホイッスルを1つ作っていて、もう1つ作ろうとしていたときに、友達がバーナードに会って、戻ってきました。
バーナードは引退を考えているというのです。
私はすぐに、彼に連絡を取って、オーヴァートン・ホイッスルの作り方を教えてもらえないか聞いてみました。
1、2週間後、私達はバーナードに会いに行きました。
私のタオル掛けのホイッスルを持って行き、バーナードに見せたのです。
私たちは長い間話し合いました。
彼は、演奏家でもあり、ホイッスルを作る事に熱い思いを持っている2人の友に会って、関心を持ってくれました。
(とはいえ、私の笛は質において、バーナードのものにはとても及びませんでしたが)
私は、オーヴァートンの作り方を教えてもらう前に作った2つのホイッスルを、今でも持っています。
2つ目のホイッスルも真鍮製でした。
めったに吹くことはありません。
重すぎて、すぐに手が痛くなるのです。
音はいいのですがね。
私とフィル・ハーディー(現在イングランドに工房を構えるティン・ホイッスル制作者)とはパートナーになって、その夏、最初のオーヴァートン・ホイッスルを作りました。
ローD管でした。

バーナードの最初の意向は引退だったのですね。

そうです。
共同作業が始まったころ、バーナードはすでに数年前から半引退状態で、長年の顧客のためだけに、細々とホイッスルを作っていました。

1997年、彼はホイッスルの世界に何が起こっているのかに気付き、オーヴァートン・ホイッスルに関しての顧客からの情報提供から、混乱があることを知りました。
色々と考え、フィルとの提携が破綻したときに、バーナードはオーヴァートン・ブランドとしてのティン・ホイッスル製作の認可をフィルから取り消す事にしました。
ありがたいことに、私は引き続きオーヴァートン・ホイッスルを作る事を許されました。
バーナードは引退をやめ、今でもホイッスルを作っています。
今では70歳近くて、手の具合もよくないのですが、“DixieGingerSnaps”という彼のジャズ・バンドで、色々な楽器を演奏しています。

あなたの顧客の多くが、あなたのサービスに満足していると、書いてくれています。
ホイッスルを作るのにミュージシャンと協力するというあなたの「哲学」についてなんですが…

ありがたいことに、私にとって今、仕事は楽しいものです。
時にはつらく、身体的にも精神的にも苦しいこともありますけれどね。
たとえば、ドイツでは税金のペーパーワークなどですね。

インターネットが使われる前は、演奏者とのつながりはあまりありませんでした。
ホイッスルは主に卸売業者を通して売られていましたから。
つまり、あまり反応や意見を聞くことが出来なかったのです。
ホイッスルが買われていってしまうと、ブラック・ホールの中に消えてしまった、もう2度と話を聞くこともないんだというように感じることがあります。
さびしいですね。

1人で働いているので、私は、笛製作者であるだけでなく、セールスマンで、仕入れ担当で、苦情係で、梱包係で、掃除夫で、お茶くみで、すべて1人でやります。
(ありがたいことに、妻がよく手伝ってくれますが)
他の人との触れ合いは心を沸き立たせる事であり、他の人と話したり、要望を聞いたりすると、人がホイッスルに何を求めているかよくわかります。
また、私のホイッスルを持っている、聞いたこともない土地に住む人から便りをもらうことは、ワクワクすることです。
今インターネットが使えるというのは、本当にすばらしいことで、世界を小さな村にしてしまいましたし、地球の反対側に住む人とコンタクトをとることを容易にしました。

自分がして欲しいように、他の人やその要望に対処するよう努めています。
こうするほうが楽しいと思うし、他の人も感謝してくれます。
私は自分のホイッスルに永久保証をつけています。
つい最近、18年前のホイッスルが修理のために持ち込まれました。
お客様が知りたいどんな質問も問い合わせも、遠慮なくしていただきたいのです。
そうすれば、18年たってからでも、ためらわずに私に連絡をくれるでしょう。

演奏者の要望にあわせて、可能な限り、ホイッスルをひとつひとつ手作りするそうですね。
オーヴァートン・ホイッスルは、それぞれ少しずつ違うとおっしゃっているそうですが。

そうです。
様々なホイッスルを吹いてみて、自分のホイッスルの好みはわかっています。
それは、ホイッスルを作る上で役に立つのですが、あなたの場合は違うし、別の人の場合もまた違う。
なぜなら、それは全て、奏者がどのように吹きたいか、どんな音が好きかによるからです。
これがわかっているので、私はどんな要望も言っていただいて、出来るだけ叶えたいと思っています。
私が自分の設計に従って、一人でホイッスルを作っても、本当に良いホイッスルを作っていると思いますが、こうした方が、多くの奏者に満足していただけると思うのです。

ローD管の指穴の間隔を狭くして欲しいという要求は多くありました。
それで、この線に従ってホイッスルを設計し、今は私の標準ローD管に採用しています。
時には指穴の間隔が広いほうがいいという人もいて、その場合は間隔の広いものを作ります。

個人的な連絡やCDなどの情報で、ミュージシャンがどのように演奏するか知ること、そのミュージシャンの曲を知ることは、その特定の奏者のためにホイッスルを作る助けとなります。
音色の調整をし、指穴を削って音程をあわせ、音がそのミュージシャンの希望に叶うようにしておくのです。

あなたの楽器に対する愛着と尊敬の念においては、私は誰にも負けませんが、でも、一体何を考えて、あの巨大なバスA管を作ったのですか?か (注:オーヴァートンのバスA管はローD管より相当大きい。Chiff&Fippleの加入者であるジム・ダンが貸してくれたのだが、低い音を聞くために、絶縁テープで指穴を塞がなければならなかった)
化け物のようなホイッスルを作って、この「インターネット・ホイッスル・ジャーナリズムの王」を名乗る私を困らせようとしたのですか?

そうなんですよ!

まじめな話、低い音への挑戦について少し話してください。

私は色々やってみるのが好きなのです。
で、今は、バスG管を作っています。(2014年現在、正式なラインナップになっています)
もしあなたのところに1つ送るとしたら、忘れずにガムテープも一緒に送りますよ。
そうすれば低い音も聞いてもらえますね
私は高音のホイッスルより、低いホイッスルのほうが好きです。
実はネコもそうなんですよ。
たぶん子供のころ、ソプラノF管ホイッスルを吹きすぎたからでしょうね。
大きなPAを通してバスA管を吹くのは、また格別です。
あそこの大きな教会で吹いたこともありました。
すばらしかったですよ。

バスA管を作り始めたとき、指の事で問題がありました。
私は6本の指を穴に置くことは出来ましたが、よく動かなかったのです。
慣れるのには思ったほど時間が掛からず、今は気持ちよく動いています。

低音がすばらしいディジュリドゥをいくつか持っています。
Quadraverb(音響機材)で聞いたら最高でます。
もっと、演奏する時間がとれたらいいのですが・・・。

一番演奏したい楽器は何ですか?

難しい問題ですね。
自分の気持ちや状況によって変わります。
私の青いローD管は、やっぱり、今でも最高のホイッスルです。
1993年に作って、ずっと、ここまで来ました。
それは「木製のような」素敵な音色で、何年も使っているのに、今でも驚かされることがあります。

ホイッスルのほかに、ジャンベもよく演奏します。
私のジャンベは他のジャンベと違って、ヘッドが大きく、皮は普通のジャンベほど張ってなくて、深くて温かな低い音がします。
セッションやライブで他の人と一緒の時に、このジャンベをたたくのが好きです。
家の中で使うには音が大きすぎて、たとえそっとたたいても、低音で窓が震えるのです。
パブで演奏する時は、普通、マイクを使いません。
ドラムセットがあっても、十分対抗できるほど大きいのです。
ギターも好きで・・・

特に好きな笛の調子(キー)はあるのですか?

はい、あります。
全部の調子を持っているわけではありませんけど。
ある調子のホイッスルが欲しければ、自分で工房へ行って作ってしまいます。
メゾBb管のホイッスルを作りたいのですよ。
これが好きで、2回自分のために作りましたが、2回とも、手放してしまったのです。

一番好きな調子は、D管、F管、A管(低いほう)です。
アルトF管はちゃんと指が動くし、複雑な曲でも大丈夫です。
D管は前も言ったように、音色が大好きですし、これを吹いていると時を忘れます。
これを書いているとき、ブリジットが指摘しました。
「アルトG管とメゾA管はどうなの?それから・・・それから・・・」ああ、難しすぎて答えられませんよ。

他のミュージシャンと演奏することはよくあるのですか?

時々、他のミュージシャンと演奏しに行きますよ。
小さなバンドをしていて、私は主にホイッスルを吹きますが、曲によっては、小さなブズーキや、ギターや、パーカッションをやります。
今までに、何回かライブをすることが出来ましたが、皆忙しいので、なかなかです。

今年の目標は毎週集まろうという事です。
実際4月にはライブを予定しています。
私は家でよくホイッスルを吹きますし、こちらへ来てから、結構上達しました。

ブリジットがホイッスルと私の演奏が好きなので助かります。
彼女は賞賛に値しますよ。
めったに文句はいいませんし、文句を言うのは、夜遅くに吹いている時だけですから。

イングランドにいた時は、1週間に数回演奏しました。
友達と集まって、”WingandaPrayer”と、1、2回、演奏しました。
デュオというか、私が入るとトリオですが、すばらしいミュージシャンで、エンターティナーで、何時も大入り満員でした。
あそこのセッションはすごかったですよ。

音楽のスタイルは誰が来るか、何が出来るかで変わりました。
あそこには、様々なすばらしいミュージシャンがよくやって来ました。

ドイツのアイリッシュ音楽はどんな感じですか?

わかりません。
どなたかご存知なら教えてください。
いや、そう言っては正しくありませんね。
私の周りでは、アイリッシュパブはたくさんあるのですが、生の音楽はあまり聞けません。
ライブ音楽はあるのですが、ほとんどが、ロックやポップのカバーバンドです。
ボンやケルンではアイリッシュセッションがあると聞いたことはあります。
遠くはないのですが、週の真ん中で、時間が取れないのです。

ドイツではアイリッシュ音楽に関心は高くて、リバーダンスやマイケル・フラットリーは、よく来ているようです。
何人かのアイリッシュミュージシャンとは言葉を交わした事がありますが、彼らはベルリンやミュンヘン(500マイルも離れています)にいます。
ディジュリドゥ 出来ればここで、もっとライブ演奏やレコーディングに関わりたいと思います。
一緒にやりたいと思う人がいたら、是非、連絡をください。

お仕事のほうはどうですか?

ありがたいことに、順調です。
予約リストは、どんどん長くなっていて、追いつけないほどです。
準備作業をスピードアップする方法を模索していますが、そうするのにも少し時間が掛かります。
自分で定めた基準を弛めたくありませんから。
長い待ち時間にもかかわらず、演奏者が待ってくださるのはありがたいことです。
今のところ35週の注文待ちがあります。
気になりますが、間もなく減らせると思います。

オーヴァートンのデザインは進化し続けるのでしょうか?

もちろんです。
暇な時間はほとんどないのですが、それでも日曜の午後、私は工房へ行って、色々いじりまわしています。
すでに存在している、ローD管、ハイD管、メゾC管、ローC管、アルトG管の改善を続けていて、新しいバスG管にも手を出しています。
今、3つのそれぞれ異なったローD管を作っています。
指穴の間隔の狭いもの、広いもの、そして、穴の大きなもの(指穴の間隔は広い)です。
呼吸の楽なもの、きついものという選択もあります。

前にも言ったように、誰かが私のホイッスルに特別な好みがあるなら、できる限りかなえる努力をします。
全てのホイッスルはオーダーで作っています。
もし何らかの設計が必要なら、私はホイッスルを作るときにそれも含めて考えます。
C管ホイッスルにも少し変更を加え、2オクターブ目の高音の出が良くなったと思いますが、もし、誰かが古いタイプを欲しがるのなら、今でも古いタイプを作ります。

普通のホイッスルのほかに、オーヴァートンの頭部と、別の胴体を使って、別のホイッスルにも取り掛かっています。
演奏性能のいいホイッスルの原型を作りましたが、まだ、秘密です。
手に入るようになったら、真っ先にお知らせしますよ。
知る限り、それは全く新しいものです。
ご意見や、励ましを頂いたことで、全ての演奏者に感謝します。
それが私の仕事を助けてくれているのです。

Chiff&Fippleが世界中のホイッスル奏者を結びつけてくれた事で、あなたにも感謝しています。
皆、そのことを心からありがたく思っています。
本当に大変なお仕事だと思いますよ。