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ケルトの笛 インタビュー

マイケル・バーク(Michael Burke)

※このインタビューは、ホームページChiff and Fippleより、著作権保有者のDale Wiselyの許可を得て翻訳、公開しています。 英語翻訳:村上亮子
 

数ヶ月前、私は、当時まだ面識のなかったマイケル・バーク氏からメールを受け取った。
ホイッスルを作っていると言う。
何年もの間、私はホイッスルを作っているという大勢の人から手紙を受け取っている。
中には、いい楽器を作っている人もいたが、未だに、トップ・レベルのホイッスル製作者といえる人はいなかった。
マイケルは自分が作ったホイッスルを、試してみて欲しいというのだ。
だが、彼のほうで時間がとれず、つい最近まで彼のホイッスルを試す事ができないでいた。
今では、私はマイケルの4つのホイッスル(B♭、B、2種類のロー・ホイッスル)を毎日のように吹いている。
私は、その笛にすっかり驚いてしまったのだ。
澄んだ音色、大きな音、ことのほか滑らかな吹き心地、想像以上の軽さ。
はっきり言って、バークの笛は申し分のないものであった。
マイケル・バークは確実にホイッスル製作者の中の神話の域に達するだろう。
いや、すでに達しているかもしれない。
このことは、マイケルがいかに短時間でその域に達したか(今からその事を知るのだが)を思うとき、特にすばらしいものである事がわかる。

※左枠(インタビュアー デール)右枠 マイケル・バーク

マイケル、あなたのホイッスルを吹いた後で、私は、本職の仕事をやめ(て、笛作りに専念し)たら?と言いましたが、今でも、仕事は続けているのですか?

ええ、していますよ。
私は野生生物無線遠隔測定装置や療養所の患者モニター装置を作る会社の主任設計技師です。
会社が売っている装置の大半は私が設計したもので、私の開発した受信機は「ワイルドアメリカ」や「ネイチャー」などの自然保護番組で使われています。
私たちが開発した装置は、全国の介護施設にいるアルツハイマーの患者を守っているんです。

お住まいはどこですか?

マーフィーズバラという深南部イリノイ州の人口1万ほどの小さな町に住んでいます。
私の祖先もそうなんですが、多くのアイルランド系移民は南部イリノイのこの地域に定住しています。

楽器作りを始める前は、アイルランド音楽にどういった関心がありましたか?

2、3年の間は、伝統音楽に、まあ、普通に関心を持っていましたが、本気で係わるようになったのは、1996年にアイルランドへ行って、ダブリンで、ミック・オブライエンに会ってからです。
スーザンと私はダブリンのフェリ-マンという小さなパブのセッションに行きましたが、そこの音楽はすばらしいものでした。
ミックは、高校の地理の教師だそうですが、彼は私がアイルランドで出会った最もすばらしく、勤勉な人であり、色々と有益な事を教えてくれた人でした。
オブライエン一家の人は皆、音楽で有名でしたが、ミックは、ホイッスルとフルートの達人で、イリアン・パイプスでは、世界で最高の演奏家の一人でもあるんですよ。彼は時間をとって、私たちに彼の楽器と音楽について説明してくれました。
彼の優しさと、ホイッスルとフルートとパイプの魔法に、魅了され、私はすっかり虜になってしまったのです。

で、どうしてホイッスルを作るようになったのですか?

その旅で、私はアイルランド製のホイッスルを買って帰りました。
小さな黒点の並んだ教本つきのものです。
そのホイッスルは、キーキーとした音で、かすれ、よく詰まりました。
私は物を作るのに慣れていましたので、きっと、これよりもいいホイッスルが作れると思いました。
私は自分のためにホイッスルを作り始め、それから、演奏者に私のホイッスルを試してもらい、意見や助言を求める事にしました。
彼らの意見を聞き、改善を重ね、とうとう演奏者が私のホイッスルを売ってくれないかと言うようになりました。
そのとき、笛製作者になるということを考え始めたのです。

では、ホイッスルを作り始めてどのくらいになるのですか?

1998年2月、自分の最初のホイッスルを作ってからほぼ2年後、私は兄弟のジョンと契約を結び、ホイッスルの頭管部を彼のコンピューター制御の機械でデルリン(強くて弾力のあるプラスチック)から作ってもらう事にしました。
1998年3月には私の最初のホイッスルが発売されました。
それ以前にも15~20のホイッスルを作って、人にあげたりはしていましたが、それらはお金を出して買ってもらえるようなものだとは思っていなかったのです。

どのように設計するのかということに、ずっと興味を持っていました。
あなたの笛がどのように進化していったのか、少し説明していただけませんか?

コンサートで私がはじめて出会った音のいいホイッスルは、コープランドのD管ホイッスルで、それからコープランドのローG、ロ-Dでした。
私は初め、ホイッスルは円錐形であるべきだと思っていました。
それで、真鍮で、少しテーパー(先端に向かって細くなること)のついたデザインでホイッスルを作り始めました。
デイビッド・ダイが彼のバグパイプのページで描いた設計図です。
私は、管の内径に7段階もの変化をつけて、様々な形を試してみましたし、1/2ポンド(約230g)もある巨大なホイッスルも作りました。
またこの間に、コープランドのようなカーブしたウィンドウェイを作る方法を開発したりもしました。
この方法が、音色と、露がたまりにくくてウィンドウェイが詰まりにくいという点で、優れていると確信したからです。

それから円筒形のデザインを試し始めました。
薄い円錐形の管を作るのは、私の家の作業場ではちょっと無理だったからです。
私の初めての円筒型ホイッスルは、他の多くのものと同じように、2オクターブ目のGより上の音が、少し低くなっていました。
そこで、この問題を解決するために様々な事を試してみました。
そして、フルートのデザインに関するテオボルド・ベ-ムの本を読んで、彼の原理をティン・ホイッスルに応用してみようと思ったのです。
ホイッスルの頭の部分を狭めたおかげで、A、B、B#の音が正しくなりました。
ところが、反対に2オクターブ目のDが5~10セント高くなってしまったのです。
そこで、私は管の中のある部分を広げれば、2オクターブ目のDが低くなり、ついでに、C#をもう少し上げることが出来ると気が付きました。
広げたり狭めたりを色々工夫して、2オクターブの正しい音が出せるDホイッスルが完成したのです。

それから、ロー・ホイッスルの製作に取り掛かりました。
まずA管からはじめて、だんだん、低くしていきました。
私の最初のローDホイッスルは、少し細くなった円錐形の真鍮で、それを吹くと、大量の息が必要なので、めまいがしそうでしたし、息が切れるし、重さで指が痙攣してしまいました。
それから管に使うコンポジット(合成素材)を見つけましたが、それは音色の点でも重さの点でもすばらしいものでした。
私の最初のロー・ホイッスルは調の割には太いもので、2オクターブ目がスムーズに出ませんでした。
より小さな胴体にすると、低い音が小さく弱くなってしまいます。
去年の夏、7月に私は本当に良いローDホイッスルを作る仕事に取り掛かりました。
私のよき友であり助言者でもあるオーストラリアのクレイグ・フィッシャーが、管の中にもう少し歪みをつければ、ある音は倍音を出しやすく、別の音は出しにくくなると助言してくれました。

その「歪み」って何ですか?

少し前にも話したと思うのですが、笛の管は端から端まで同じ太さではないと言う事です。
ほとんどのホイッスルは、少なくとも上部が狭まっていますが、まあ、どれもそんなところでしょう。
私のローDは各音を調整し、それぞれの音のオーバーブロウ(1オクターブ目と同じ運指で、息の強さによって2オクターブ目を得ること)がしやすく、かつその音程が合うように、低音が演奏者が好むどっしりとした低い音になるように、5箇所で内径を変えています。
どんな笛も、純粋に円錐形だったり、円筒形だったりはしません。
私のホイッスルの場合、管の内径を広げたり狭めたりして、正確な音と豊かな音量を生み出すために管の反応を調整するのです。

クレイグは楽器製作者で、イリアン・パイプスの製作においては世界の一級の権威者です。
今、私は小さなホイッスルの見直しをしていて、Eb、D、C#、C、B♮の真鍮の小さなホイッスルを数ヶ月の内に販売するつもりです。
この一連のホイッスルは大きな音は出ませんが、やさしい音色で、あまり息を必要としません。
ですから、すばやい演奏が出来ます。
気に入っていますね。
同じ調のコンポジット(合成素材)のホイッスルも作って、それらは音の大きな、セッション向きのものです。
当分、すべての調のローホイッスルも、デルリンの頭管部をつけたコンポジット製を作り続ける予定です。

一体どこで、この合成素材を見つけたのですか?
今まで馴染みのないものですし、いい材料ですね。

実は、クレイグ・フィッシャーが、イリアン・パイプのチャンターのリードとチャンター本体を作る人工素材を探すのを手伝っていて、偶然見つけたのです。
その素材は、何らかの形でどこの家庭にもありますよ。
一般的にはベークライトの形で売られています。
ベークライトは1908年に発明され、アクセサリーや、茶碗、絶縁体、電話、おもちゃ、など、あらゆる用途に使われています。
もし鍋に取手がついていたら、それはたぶんベークライト製です。
30年代に作られたベークライト製のアクセサリーは、収集の対象になっていて、今では結構値打ちがあります。
面白いのはベークライトが最もありふれた2つのプラスティックの内の1つだと言うことです。

2つの内のもう1つはメラミンで、熱硬化樹脂として知られています。
今日使われているプラスティックの多くは、熱可塑性があり、つまり、溶けて、また固める事ができます。
熱硬化樹脂は熱でコンクリートのように固まり、溶けることがありません。
それで、熱硬化樹脂は熱に対して、安定していて、強い。
この2つの性質のおかげで、笛のボディーに最適なのです。
ただ、樹脂そのものは弾力性がなくもろいので、私の使う管は、砕木の繊維を固めたものに樹脂をしみこませ、オーブンで数時間焼いたものを使っています。
その素材は、特注で、プラスマイナス0.003の精度です。

初めから、ご自分の製作のホイッスルを、有名な演奏者の手に渡していますね。

そうです。
アイルランドでよく知られ、また尊敬されているミック・オブライエンに私のホイッスルを送りました。
ビル・オックスにも送って、コメントを求めました。
クラークのティン・ホイッスル教本の著者です。
それから、アイリッシュ・フェストに、自分の笛を出しました。
去年の8月初めには、ノバスコシア(カナダ南東部)でバトルフィールド・バンドのマイク・キャッツとジョン・マクスカーに会っています。
それから、1998年8月中頃にミルウォーキーでパディー・キーナン、ジョーニ・マッデンに会いました。
パディー・キーナンとはいい友達になって、多くのロー・ホイッスルのお客様を紹介してくれました。
彼自身も、私のホイッスルを使ってくれて、今ではレコーディングにも使ってくれていますよ。
ジョーニ・マッデンとメアリー・ラフティーとも仲良くなって、私のホイッスルでレコーディングしてくれています。
ケルティック・サンダーのリンダ・ヒックマンは昨年11月に来てくれて、私がボックス・アコーディオン奏者のビリー・マッコミスキーに贈ったホイッスルを吹いてみて、1つ欲しいといってくれました。
リンダは私から買ったD管ホイッスルでレコーディングし、発売されたばかりの新しいソロCDにも使ってくれています。

一流のミュージシャンの間に、ますます支持が広がっていますね。

アイリッシュ音楽の世界は、小さなコミュニティーです。
誰もがお互いに知り合いなのです。
ある人がローGのホイッスルを買ってくださいましたが、その時ジェリー・オサリバンに紹介されたとおしゃっていました。
ジェリーは私のホイッスルを持っていないはずです。
それで手紙を書いて、どうして知っているのか聞いてみました。
「ああ、レコーディング・セッションでジョーニ・マッデンと一緒にいてね、彼女が君のローGを見せてくれたんだ。お金が貯まったら自分でも買うつもりだよ。」と言ってくれました。
ジョーニは今までに会った中でもとても親切で素敵な人です。

時間も影響力も惜しむことはありません。
つい先週末には、私は自分のホイッスルをラリー・ニュージェントに見せました。
今までに会った最高のホイッスル奏者の1人で、何種類かのホイッスルを注文してくれました。
彼はパディー・キーナンとツアーしているんですよ。
いい楽器を作れば、優れたミュージシャンがお互いに伝えあってくれるのです。

ホイッスルの製作の将来に、どんな計画がありますか?

私はさらによいホイッスルを作り続けたいのです。
そして音楽を楽しみ、伝統音楽の世界にいるすばらしい人々に出会いたいのです。
ミュージシャンを知るようになれば、彼らがすばらしい人々だということがわかるでしょう。
最高のミュージシャンは、普通、最高にすばらしい人でもあるのです。
それは本当に楽しい事です。
この笛と、それを吹く人々が私は大好きなのです。
こんな楽しみを手にするために、他に何が出来るでしょうか?

それからもう1つ。
人の助け無しに何かをやり遂げる事などできません。
もし私のホイッスルに、何か優れた点があるのなら、優れたホイッスルを作る方法を確立するのに必要な知識を得る助けとなった人々の事を認めなければなりません。
最初からまさにこの日まで、私の友達であり、地元で試奏してくれるブライアン・クロウの評価や助言は、常に助けとなっています。
以前、エリック・ライスウィッグは多くの助言や励ましの手紙をくれました。
ビル・オックス、スターク・レイベンのクレイグ・マークレイ、ガブリエル・ハウンドのブライアン・マッコイのような人々も有益な助言をくれました。
ミック・オブライエンは、ホイッスルはどうあるべきかについての見識がすばらしく、問題のあるところを見つけ、非常に知的なアドバイスをしてくれるのは驚くほどです。かけがえのない存在ですね。
クレイグ・フィッシャーはすばらしい技術者で楽器製作者です。
彼の提言は私のホイッスル設計に不可欠なものです。
パディー・キーナンやジョーニ・マッデンが提言したり、励ましてくれたりしたおかげで、私はホイッスルとは何か、どうあるべきかを知ることができました。
つまり、楽器に何が求められているか本能的にわかっているのはこれらのすばらしいミュージシャンなのです。
私たち楽器製作者が彼らの言葉に耳を傾けさえすれば、この仕事の真髄を知ることができるのです。私はこれらの人みんなに感謝しています。