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「ジャガイモ飢饉で20%オフ」

出展 pixabay.com

ちょうど前回と、前々回のお話の間に起こった大飢饉の話をひとつ。
近代ヨーロッパにおける最後の大飢饉として有名なアイルランドのジャガイモ飢饉。

それは、1845年の冬に始まった…。
よく、当時のアイルランド人はジャガイモしか食べていなかったことの補足として、「ジャガイモしか育たなかったから」と言われがちだけど、実際はジャガイモ以外の食物を英国に土地代として渡していたからなんだ。

そんな、1845年の冬に突然、疫病が発生しジャガイモを根こそぎ枯らしてしまった。

瞬く間にその現象はアイルランド全土に広まってしまう。
そんな惨状を見かねて、当時の英国首相はトウモロコシなどをアイルランドに送ってくれてたんだって。(ありがとう)

そのジャガイモを枯らす謎の疫病は全く衰えを知らず、翌年も同じように不作に見舞われた。

そんな中、不幸なことに英国の内閣が総入れ替え。前内閣の政策から一転、「自分の国の面倒は自分でみるのが常識!」とトウモロコシなどの支給を一切ストップしてしまったんだ。

そこからなんと4年間(1849年まで)もこんな状況が続くことになる。

その間、英国はアイルランドのことなんて、ほとんど気にもかけなかった。
それどころか地主に圧力をかけ、地代を払えない人たちを追い出すことにつながった。

その結果、いたるところが家をなくした人であふれかえってしまったんだ。
さらに熱病(チフス、赤痢、壊血病など)が流行りはじめ、恐怖にかられた人たちによる犯罪も多発。どうしても、飢饉の影響を受けていない富裕層がターゲットになってしまう。

そんな状況だったので、まずアイルランド中の富裕層が国を捨て、新天地へ移住。
さらに、どうにかして海外へ…と、とても安全とは思えない危険な船で国を出る人が続出。

飢饉が収まるまでの数年間で、人口は20%も(!)減ったんだって。
そして200万人が故郷を捨て、新天地へ移住していった。

これら飢饉の被害の大部分は、ゲール文化を持つカトリック系の人たちに襲い掛かった。元々、英国寄りな町(つまりプロテスタント)は、農業以外にも資源があったからなんだって。これを機に、ゲール文化、そしてとりわけゲール語話者は一気に衰退することになった。

この当時の英国政府のヒドすぎる対応について、150年が経った1997年に(当時の)首相トニー・ブレアが正式に謝罪している。

1840年ごろの、移民量産国アイルランドの悲しいお話。
 
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