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メアリは、幽閉と変わらない軟禁生活に、少なくとも希望を求めていた。
かつては我こそがとプロポーズの列を作った国の人たちにも、こっそり手紙(もしくはLINE)を出し、そのうちの何人かとはやりとりをしていたんだ。
折しも、大航海時代の頂点に君臨していたカトリックの盟主国スペインの王子も、その一人だった。
スペインは、まだ誰もその海に乗り出したことのない時代から船乗りのスポンサーになり、南米という広大な大地と、大西洋→太平洋周りのスパイスへの航路を切り開き、その利権をしっかりと確保していた。
そしてポルトガルとの頂上決戦を制し、海戦に於いては誰も敵わない「無敵艦隊」の異名を持つ海軍を保持していた。
にも関わらず!
人が必死の思いで買い付けてきた輸入品を、イングランドがひたすら横取りするという海賊商法で、みるみるのし上がっていた、そんなご時世。
スペインとしては許しがたき敵国イングランド、その王宮内にいる、カトリック&反イングランド思想のメアリは願ってもない政治的な要だった。
恋多き女子メアリも、スペインの王子とのたわいもないラブレターや、いささか危険な陰謀レターのやり取りを、彼女の希望に結び付けたかった。