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ケルトの映画館

パレードへようこそ

映画の基本情報

HUNGER
製作:2014年
原題:Pride
上映時間:119分
監督:マシュー・ウォーチャス
出演:ビル・ナイ、イメルダ・スタウントン
ジャンル:実話/コメディ/ドラマ

ストーリー

1984年、不況に揺れるイギリス。ゲイの青年マークは、スト中の炭鉱労働者を支援するため、レズビアン&ゲイの仲間たちと「炭鉱夫支援同性愛者の会(LGSM)」を結成し募金活動を始める。
彼らへの偏見でほとんどの炭鉱が支援を断るなか、唯一ウェールズの炭鉱が受け入れを表明。
最初は「LGSM」の面々に驚き、冷ややかだったウェールズの人々も徐々に心を開いてゆく。
だが一方、炭鉱労働組合と政府の交渉は決裂し、ストは長期化。苦境を知った「LGSM」はさらなる支援資金集めのコンサートを企画するが、その先には思わぬ困難が待ち受けていた…
(DVDパッケージより)

物語の時代

1984年〜1985年

ロケーション(撮影した場所)

ウェールズ ニース・ポート・タルボット州 オンルウィン
同性愛者からの支援金と知った上で、唯一受け入れた炭鉱村。
のっぺりとした山腹が続く小さな村ですが、のちに英国を変える大きな流れを生す、いわば伝説のはじまりの地。

ウェールズ カーマーゼンシャー州 ランデイロ カレグ・ケネン城
地元の名所をLGSMメンバーに案内するシーンで登場する、雰囲気満点のお城。

登場する土地

Gay’s the Word(本屋さん)
LGSMが発足したゲイ・コミュニティ御用達の本屋さんで、現在も営業されているので、ロンドンにお立ち寄りの際はぜひ。

 

リル
ある登場人物が、はるばる母を訪ねに行く、ウェールズ最北端あたりの町。
南北に山脈があるため、北に行くとずいぶん雰囲気が違うのがわかります。

 

ロンドン カムデン「エレクトリック・ボールルーム」
LGSMが主催した「炭鉱夫とヘンタイ 支援コンサート」を行ったクラブ。
こちらも現在まで営業しているので、踊りに行ってください。

 

登場する音楽

"Bread and Roses"


労働に関するストライキ時に、世界中で歌い継がれている歌の一曲。
こういった曲は「ユニオン・ソング(団結のうた)」と呼ばれていて、多くはすでにある歌の歌詞を、風刺的に替え歌にして歌ったとか。
この曲は、1912年に行われたストの様子を描いた詩に、音楽をつけたもの。

ウェールズは、歌の伝統が深く根付いた文化を持っているので、こういった歌もウェールズ人が歌うと、途端に伝統音楽度数が急上昇するのも、ウェールズの魅力!

 

店長のココが見所♪

実話を基にした作品なので、多くの登場人物が実在しています。
主人公のマーク・アシュトンは、アイルランド出身のエネルギッシュな活動家で、炭鉱夫支援をはじめ、様々な人権運動に、その生涯を捧げました。
この映画の基になった人たちの何人かは、映画終盤のパレードのシーンに出演しています。
 
 

Lauraさん(@veganlauralou)が投稿した写真 -

炭鉱ストライキは、鉄の女サッチャー首相の政策により失業率が跳ね上がった、この時代を象徴する問題です。

割とハードめな社会問題を取り上げながら、ベースがノリの良いコメディなので、社会に受け入れられづらいマイノリティの人たちを主役に据えたお話特有の「胃がキリキリする展開」がほとんどありません。

「都会的な雰囲気を持つ同性愛者の若者たち」と、「男は拳と背中で語るもんじゃろうて、的な男臭いウェールズ人」の対比は、現実の厳しさを映し出す反面、どこかコミカルで愛すべき雰囲気もあって、そんな彼らが次第に認め合っていく、心の雪解け的な様子はには、ほっこり。

そんな、雪解けに大きく影響を与える要素に「音楽」があって、いろいろなシーンで、とっても印象的な歌を聴くことができるのも、この映画のおすすめポイント。

ウェールズの田舎町で起きた知られざる偉業を描いた映画だけど、それと同時に、どんな奇跡的な偉業も、小さな決意や、偏見のない素朴な発想からはじまったんだ、ということを優しく教えてくれるような作品で、これを見たあと1ヶ月ぐらい、涙もろくなってしまう効用があるかもしれません。(店長調べ)

比較的最近のお話のため、多くな場所、イベントが現在まで続いているので、ロンドンのゲイ・プライド(同性愛者の自尊心や人権を軽視しないために団結し、パレードを行うイベント)に参加して、この映画ゆかりの地を訪ねるこもとカンタンに可能!
ウェールズ旅行を考えている人は、事前予習に良いかもですね。

店長の早わかり歴史

炭鉱ストライキ

ざっくりと、下手なたとえ話で説明すると、英国における全国炭鉱労働組合英国政府は、すごく有能な部長と、その会社の社長の関係に似ている気がします。

部長は有能なので次々と実績を積み上げ、次第に「自分がこの会社の命運を握っている」と信じるようになって、社長は、日に日に傲慢になる部長を疎ましく思うようになりました。
そんな時、社長が新しい方針に切り替える際、傲慢で権力に固執しだした部長を切ろうとしたところ、部長とその部下が猛反発した、というのが炭鉱ストの構造なんだね。(ホントに?)

ウェールズは、痩せて作物も育たない、ローマ人さえもそっぽを向いた土地柄だったけど、炭鉱・炭田がたくさんあることがわかって以降、キャッホーイと大きく発展。
そんな事情があるので、多くの町は炭鉱ありきで村・町を組み立てていて、男連中は働けるようになったら炭鉱に潜り、女性は万全のサポートをする、というのが、絶対的な人生設計だったわけです。

同性愛者に対する法律

英国に限らず、特にキリスト教圏を中心とした多くの国で古くから同性愛は罪とされてたんだね。
英国は離婚王ヘンリー8世の時代に、同性愛を罪とするバガリーという法律が制定されて以降、なんと1967年まで、その風習は続いた。
そのため、同性愛者(なぜか男性に限る)だと発覚した場合は、懲役7年を言い渡され、場合によっては強制的な薬物治療を受けさせられたんだとか。(映画「イミテーション・ゲーム」を見るとわかりやすいです)

そういった文化が長く定着していればいるほど、国民の中の「常識」は固くゆるぎないものになっていく、というわけ。
なので、434年もの間、そんな風習の元で代々暮らしていた英国人からすると、ゲイの人たちから支援を受ける、というディライス炭鉱の決断が、かなり先進的なことだった、ということがわかるかもしれない。

 

 
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