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ケルトの笛 インタビュー

フランスとブルターニュにおけるアイルランド音楽

※ このインタビューは、ジャン=ミシェル・ヴェイヨンさんがオランダのフルートマガジンへの取材で受け答えしたインタビュー原稿を、ジャン=ミシェルさんご本人の許可を得て翻訳、公開しています。

※左枠:インタビュアー 右枠:ジャン=ミシェル・ヴェイヨンさん

どちらのご出身ですか?

ブルターニュ、コート・ダルモール、もしくはパンティエーヴルのフレエルです。

普段はどちらにお住まいですか?

ブルターニュのコート・ダルモール、トレゴールにあるカヴァンというところです。

お生まれは?

1959年

高等教育はどちらでお受けになりましたか?

英語の大学一般課程まで(中退ですが)師範学校です(今ではIUFMと呼ばれているところです)

音楽教育は受けましたか?

いいえ。
当時まだマシだった小学校や中学校の音楽の授業は別ですけど。

お仕事は何をなさっていますか?

音楽家です。
フルートを吹きます(そしてたまに太鼓も演奏します)

いつから演奏をされていますか?またはされていましたか?
それはどれぐらいの期間ですか?

11、12歳の頃に牧笛、ついでティン・ホイッスルを(11歳の時にダンスから始めました)。
そして14歳からボンバルドを始めました。
初めて木製フルートを自分用に買ったのは1977年のことでした。
常にフルートは吹いていましたが、ボンバルドは何年もほったらかしてましたし、ダンスにいたっては、ちょっとした時を除いてもうあまりやっていません。

アイルランド伝統音楽を演奏されますか?

ずっとしていますが、むらがあります。
というのも他のレパートリーばかりに専念していた時期もありましたので。

伝統音楽で他のものは?

ブルターニュ音楽ですね。
東欧諸国の音楽の曲もいくつか。
でもこっちは実際より深く知ろうとかはしていませんが。

他の音楽はどうですか?

ブルターニュの音楽家の現代曲です。
たいていはブルターニュ音楽の旋法やリズムに近いのですが、たまに結構離れたものもあります。

アイルランド伝統音楽を特に聞いていますか?
アイルランド伝統音楽と他の伝統音楽でしたらどちらですか?
他の伝統音楽でしたら何を聞かれますか?

世界中の笛をつかった音楽という音楽に関心があります。
ポップスだろうと伝統音楽だろうと、クラシックだろうと、こむずかしいものだろうと、初心者むけのものだろうともうずっと興味津々です。
こんな調子で同じ分野の他の楽器も聞いてしまいます。
歌もたくさん聞きますね。
インドのラーガもヨーロッパのバロック音楽と同じぐらい好きですし、(ペルシャやオスマンの)スーフィの音楽もお祭りに聞かれるような音楽(ロマ音楽など)も同様に好きです。
ある時なんか、「束の間」の音楽(民族音楽を保存してまとめてあるものなど)も好きでした。
アイルランド伝統音楽は家ではあまり聞きません。
聞いたとしても、どちらかというとソリストのを聞いています。
けれど、アイルランド伝統音楽はよく「本物」を聞いていますよ。
頻繁にアイルランドやスコットランド、アメリカに行っていますし、アイルランドやスコットランドなどの音楽家を訪ねたりしていますから。

どの楽器を演奏されますか?
どの職人のものですか?

木製フルートです。
クリス・ウィルクス Chris Wilkes(イギリス)、ジル・レアール Gilles Léhart(ブルターニュ)、ステフ・モルヴァン Stef Morvan(ブルターニュ)、ポル・ジェゼケル Pol Jézequel(ブルターニュ)の笛です。
ブルス・デュ・ヴェ Bruce Du Vé(アイルランド)、マイク・グランター Mike Grinter(オーストラリア)、ペテール・メルベット Peter Merbeth(ブルターニュ)の笛も使っていました。
古い職人(ルーダル&カルテRudall & Carte、クックCook)のものも吹いていました。

ご自分のレベルについてどのようにお考えですか?

いい方だと思っています。
コメントや意見を信じるならばですが。

レパートリーの中でアイルランドの曲はどれだけありますか?(構えずに吹ける曲で)
だいたい100、250、500、1000それともそれ以上ですか?

非常に困った質問ですね。
曲ってのはうつろうものなんです。
ある友人が最近、一曲吹いてくれたんですけど、初めて聞く曲だと思いました。
ところが、彼は何年も前に私が教えたと言って、証拠にカセットを示したんです。
言えるとしたら500から1000の間かな。

いつからプロとして活動を?

プロとしては1982年からです。

定期的にアイルランドで演奏さてますか?

しています。

定期的にアイルランドで演奏されていましたか?それは、いつですか?

ええ。
1979年以来、定期的に。

アイルランドでプロとして活動されていましたか?

はい。
1982年以来。

平均一週間でだいたいどのぐらいアイルランド音楽を演奏されていますか?

わかりません。
大きく言って、私は音楽で生計をたてていますが、アイルランド音楽は常に一番時間をさいている分野ではありません。

年に何回アイルランド伝統音楽を演奏されますか?

少なくとも一ヶ月に一回は。

コンサートでは。
どんな団体ですか?何人で?どんな楽器を?何の一環で?

多種多様な団体です。
音楽家の数も色々ですけど、楽器の性質も多岐にわたっています。
ブルターニュだとKornog、Pennou Skoulmなど。
アイルランドやスコットランドだとFlutopia、Emer Mayock、ドナル・ショーDonal ShawのHarvest など。
それからコンサートの終わりにいつも非公式のものがあります! まぁ普通は(お祭りの)コンサートでやっていますけれども。

セッションでは、どんな場所で?どんな機会に?

お祭りのときや、コンサートの後などいろいろです。
どんな場所でも、一人以上の音楽家と共通の曲が少しあればすぐに。

ダンスのためには?どんな場所で?どんな機会に?

ありえはします。
むしろ肩の張らないやり方で(例えば、ウエスト・コークのパブとか、ブルターニュのダンス・フェスティヴァルとか)でもあまりそういった機会はありません。

他には?

一方で、定期的にブルターニュのダンスのためには演奏します。
(ブルターニュのFest-nozやそれぞれの家での集まりとかで)ダンスのために演奏するのは好きです。

ブルターニュではどういった場所でセッションをやりますか?

バーや個人的な集まり、コンサートやフェスティバルの舞台袖とか。

アイルランド音楽を教えていますか?ほかの音楽は?

教えています。
そういった場に定期的に足を運んでいます。
木製フルートやブルターニュ音楽を教えていますので。
こういった指導をしていると、アイルランド音楽を無視するのは難しいだろうな、と思っています。
それに生徒たちはだいたいいつもこの音楽について「もっと知りたい」と言っていますよ。(同じように一年に一度か二度、アイルランドでも教えています。

一つないし複数のアイルランド音楽のグループを結成しましたか?

しました。
フルートで初舞台を踏んだとき(1977)、フレエルの三人と友達と一緒に(フルート、ホイッスル、ボウラン、ボーン)Poll an Madra Uisce (The otter's holt)って名前でやりました。
それから1979年にブルターニュ・アイリッシュバンドをパディー・オニール Paddy O'Neill(フィドル)、マーティン・ノーラン Martin Nolan(イリアン・パイプス)、ジル・ル・ビゴ Gilles Le Bigot(ギター)と組んで、ブルターニュを何回か回りました。
メンバーは後で変わりました(デシ・ウィルキンソン Desi Wilkinson、シャーン・コーコラン Seán Corcoran、 ファンシュ・ランドロー Fañch Landreau)。
それからしばらくして、Imagin'Eireのお祭り(ブレストのクォーツとパリのラ・ヴィレットで)にブルターニュ人とアイルランド人が集まる機会がありまして、ジョニー・オブライアン・モラン Johnny O'Brien-Moran、シャーン・コーコラン Seán Corcoran、デシ・ウィルキンソン Desi Wilkinson、ゲリー・オーコナー Gerry O'Connor、トミー・マクメイナス Tony Mc Manus、ダヴィッド・ホッピーことホプキンス David "Hopi" Hopkins、パトリック&ジャッキー・モラー Patrick & Jacky Molard、ヨーアン・ル・ビアン Youenn Le Bihan、エリック・マーシャン Erik Marchand、アラン・ジャンティ Alain Gentyと演奏しました。

アイルランド音楽に(少なくとも1パートは)特化したCDを出したことはありますか?いつですか?タイトルは?

ないです。
小曲がいくつか、ごちゃごちゃと出してきたCDの中に、ばらばらに収められているだけです。
タイトルだけあげておきます。
E Koad Nizan(1993) Coop Breizh社
Pont Gwenn ha Pont Stang (1995) Coop Breizh社
Er Pasker(1999) Coop Breizh社
Beo! Live in Belfast and Coatreven (2000) An Naer Produksion社

アイルランド音楽を演奏する機会や環境は始められた時と比べて変わりましたか?

変わりました。
ブルターニュでは演奏できるバーが減りましたね。
アイルランドでも同じです。
若いブルターニュの音楽家は前の世代がやっていたほどにはアイルランド音楽を演奏しませんし。(いや、全くかも)

ご自分の演奏スタイルをどう表現しますか?

結構刺激的ですけど、自由奔放ってわけではありません! アイルランド音楽を解釈する中で、何も新しいものを作り出しているわけではないと思うのですが、結構「僕らしい」と言われます。

同じ楽器を使っているアイルランド人ミュージシャンを10人あげてください。

これと思った人や会ったことのある人を順番にあげるのがいいでしょうね。
マット・モロイ Matt Molloy、デシ・ウィルキンソン Desi Wilkinson、 ジェリー・オコンネル 'Big' Gerry O'Donnell, ダヴィー・マグワイヤー Davy Maguire、テーラ・ビンガム Tara Bingham、 ハミー・ハミルトン Hammy Hamilton, マイケル・ターブライディ Michael Tubridy、パディ・カーシー Paddy Carthy, ジョシー・マクダーモット Josie Mc Dermott, フランキー・ケネディー Frankie Kennedy, シェイマス・タンゼイ Seamus Tansey, ロジャー・シャーロック Roger Sherlock...

アイルランドには何回行かれましたか?どちらの州に滞在しましたか?

とても頻繁に行っています。
4つの地方(コノート、マンスター、レンスター、アルスター)のそれぞれの州に最低一度は滞在したり通過したりしたと思います。

(合計して)どのくらいアイルランドで過ごしましたか?

わかりません。
ですが、もっとも長く滞在した時で、一ヶ月いました。
アイルランドに住んだことはありません。

アイルランドのことはよく理解していると思いますか?
歴史は?

まぁまぁかな

文化は?

まぁまぁ

文学はどうです?
アイルランド人作家では誰が好きですか?

あんまりたくさん読んでないのですが、フラン・オブライアンFlann O'Brienの『けちん坊』はいいですね。
それとジョン・ミリトン・シングSyngeの『アラン島』、ウィリアム・バトラー・イェイツWB Yeatsの詩集です。
ジョイスやワイルドは未読で、せいぜい抜粋を少し読んだぐらいです。

アイルランド人の生活は?

はい、知り始めています。

アイルランド国籍の知り合いが一人ないし複数いますか(いましたか)?

友人がたくさんいます。
それこそアイルランド中だいたいいたるところに。

アラン・セーターを一つないし複数お持ちですか?ツイードの帽子は?ピーターソンパイプは?

持っていませんけど、おもしろい質問ですね。

英語のレベルはどの程度ですか? 

「良い」と「流暢」の間ぐらいです。

ゲール語は話せますか?

話せません。
ですが大学で入門講座を受けました。

アイルランドの伝統的ダンスを踊りますか?

いいえ。

アイルランド伝統音楽を学びましたか?
フランスでのことをお願いします。

学びました。最初のころ。
もっと言えばデビューした頃、33回転レコードを聞きながらフルートを独学していたんです。
フレエル岬のそばに住んでいたので、アイルランドのラジオ放送をそこそこ普通に聞けたんです。
日曜の夜にアイルランド音楽の番組が一つありました。
記憶が正しければですが。
すでにフルートをやっていたパトリック・モラー Patrick Molardとアラン・コロア Alan Kloatrも聞けました。

授業や見習いはされましたか?

やっていません。
私が演奏を始めたころ、オート・ブルターニュにはありませんでした。

セッションやフェスティバルは?

はい、でも先のことです。

パブは?

そうですね、1978年から79年にレンヌのバーのいくつかで演奏したことがあります。

どの地域、どの町、どの場所で?

ブルターニュです。
おおよそは。

どなたに学びましたか?

1981年Kornogとして活動していた最初のころ、(ブルターニュに暮らしていたスコットランド人ミュージシャンの)ジェイミー・マクミナミーJamie Mc Menemyに会って教えてもらいました。

ミュージヤンだと誰がお好きですか?

フランスではたくさんのミュージシャンがアイルランド音楽をみごとに演奏します。
数名だけあげるとすると、ニコラ・ケムネ Nicolas Quémener(フルートもそうですがギターもすばらしい)マルク・ポリエ Marc Pollier、ロマン・ル・ブラ Ronan Le Bars、モラール Molard兄弟、フィリップ・ユンサンジェ Philippe Hunsingerとベネディクト・ル・クロアール Bénédicte Le Croart、エルヴェ・カンタル Hervé Cantal、ヴァンサン・ブラン Vincent Blin、ファンシュ・ランドロー Fañch Landreauh、クリスチアン・ルメートル Christian Lemaître、ジル・ル・ビゴ Gilles Le Bigot、ジュリアン・ビゲ Julien Bigetなどなどです。
そうそう忘れてはならないのが、私のセミナーに一度か二度参加してくれたおかげで光栄にも会うことができたシルヴァン・バルー Sylvain Barouで、とてもすばらしいフルート奏者です。

お好きなグループは?

Up Ya Boyaが好きです。

アイルランドで学びましたか?

はい。
だいたい1978年から。

授業は?

まったく受けていません。

見習いは?

まったく。
ですがアイルランドで教えていますと、学ぶこともたくさんあります。

セッションは?

数え切れないほど。

フェスティバルは?

あります。

パブは?

セッションと同じように数え切れないほど。

どの州、どの町、どの場所で?

もう至る所で。
けれど、ベルファスト(もしくは北アイルランドのミュージシャンと)のミュージシャンと一緒に過ごすことが多かったです。

どなたに学びましたか?

手ほどきをしてくれたって言葉があっているかもしれません。
デシ・ウィルキンソン Desi Wilkinson、パディー・オニール Paddy O'Neillやその父チャーリー Charlieといった人々、短い間でしたが出会ったたくさんの人々、たとえば、シャーン・マクカースカー Sean Mc Cuskerはベルターベットのヴァイオリン奏者で、残念なことにもう演奏はできなくなっていましたが、山ほど助言してくれるので全部覚え切れませんでした。
それからベルファストのフルート奏者のトム・ジンリー Tom Ginley。

もっともはっきりと影響を受けたのは?

フルートへの情熱に目覚めたのはマット・モロイ Matt Molloyのおかげです。
ですが、デシ・ウィルキンソン Desi Wilkinsonやもっと最近ではハリー・ブラドッリー Harry Bradleyといったほかのフルート奏者にも私の演奏から聞きのがすことができないほどに影響を受けています。
それにフルート奏者だけでなく、ほかの音楽家からもインスピレーションを得ていますね。
ヴァイオリン奏者(トミー・ポッツ Tommy Potts、シャーン・キーン Sean Keane、シャーン・マグワイヤー Sean Maguireなど)とバグパイプ奏者(パッディー・キーナン Paddy Keenan、リアム・オフラン Liam O’Flynnなど)の演奏を聞き、彼らに会うことはとてもためになることでした。

どの音楽家が好きですか?

やっぱりマット・モロイ Matt Molloyですね。
革新がつねに歓迎されていなかった時代、歓迎されていなかった分野に新風を吹き込んだのですから。
彼のCDをよくかけますよ。
あとは、きりがないですね! でも、もう一度いいますが、フルート奏者だけでなく、ヴァイオン奏者にもバグパイプ奏者にも「いいねぇ」って思っていることはよくあります。

お好きなグループは?

Altan、Lunasa、At First Light、Mike Mc Goldrick Bandといったグループが好きですが、少人数のグループでも、ソロでも全く同じように聞くのが好きです。

CDでは何がお好きですか?

ソリストのCDをむしろ聞いていますが、70ー80年代の神話的レコード(Bothy Band, Planxty...)は印象深いですね。

楽譜は?(どの楽譜集ですか?)

ソルフェージュは見ません。

アイルランド音楽のレコード、CDのトップ20をあげてください。

これはかなり困ったな…でもあげるなら、フルートのCDにいくつもありますし(マット・モロイ Matt Molloy、 ハリー・ブラッドリー Harry Bradley)、ヴァイオリンのCD(トミー・ポッツ Tommy Potts、トミー・ピープルズ Tommy Peoples、シャーン・キーン Sean Keane、ゲリー・オーコナー Gerry O’Connor)にも、歌のCD(クリスティ・モーア Christy Moore、アンディ・アーヴァンとポール・ブラディー Andy Irvine & Paul Bradyのデュオ、シャン・ノースの歌)にもいくつもあるでしょう。

初めてアイルランド音楽を聞いたのはどんな機会でしたか?

もはや記憶があいまいなのですが、おそらくはアラン・スティーベルAlan Stivellの33回転レコード、もしくはブルターニュで行われた民間のお祭り(イリアン・パイプス、ホイッスル、バウロン、そして踊り手を何人かひきつれたアイルランドのグループでした)でだと思います。
いずれにせよ、(ブルターニュ舞踏をやっていて、ティン・ホイッスルを教えてくれた)私の姉妹の一人がChieftains 4の33回転レコードを買ってきた日のことは覚えています。

どんな出来事、どんな状況、どういった人などがアイルランド音楽の演奏を学ぶきっかけとなったのですか?

とりわけ特別なきっかけはありませんでしたが、細かく説明するとなると少し長い話になりそうです。
それというのもいろんな物事がからまりあっていますから。
出会い、レコード、読書、コンサート… 70年代初頭、汎ケルト主義の感情がブルターニュの吹き手、踊り手、活動家の間でかなり高まっていたと言うふうにまとめることができるかもしれません。
無邪気にもケルト世界は再構築(復興活動)の途上であると考えていたものですが、それをきっかけに結構な若者が音楽をやろうとしました。
アイルランド音楽(とはいえ、当時はスコットランド音楽だったでしょうが)にブルターニュの多くの若者が様々な地平を想像し、夢を見たのです。
この時代に思春期を迎えていた私も他の人と同じように刺激されました。

何のレコードを初め聞きましたか?

Chienftains 4それからTransatlanticの33回転レコードの古い二枚組。
そしてBothy Bandの一枚目と、マット・モロイ Matt Molloyの一枚目のソロ、それともちろんフルートのレコードをいくつも。
シャーン・マグワイヤーとロジャー・シャーロック Sean Maguire & Roger Sherlockの At their bestといったようなやつです。

アイルランド音楽で最初何に惹かれたのですか?

逃避です。
(思春期にありがちな)自分も「違う世界を見つけたぞ」って、遠くに逃れようと夢見ていたわけです。
しかしまた、より具体的に言えば、木製フルートの音はかなり不思議な様相の音で、他の楽器と解け合いながら、決して消えることはありません。
私もこの音楽のリズムの軽快さに惹かれました。

アイルランド音楽が他の音楽以上に持っているものは何でしょう?(この音楽をやろうと言う気持ちが決定的となったのは何故なのでしょう)

アイルランド音楽が、他と比べて何かあるとかないとかはっきり思ったことはありません。
想像するにですが、全てやっていることによるのではないでしょうか。
この音楽をやりたいと思うようになったのは、一つにフルートの音に惹かれたからですが、またこの音楽がいまだ現役で、様々な環境で演奏されているからでもあります。
それに親しみやすさや一見単純なところ、悲劇的でありながら、楽観的でもあるところもあります。

アイルランド伝統音楽をセッションで演奏するということで何を得ますか?

セッションによります。
けれど普通、音楽を演奏していると重用な社会的価値がある程度結びついているな、と思います。
たとえば、
1)お互いに相手の音楽に耳をかたむけること=音楽への礼儀!
2)テンポ、リズム、音を皆で捜し求めること=努力の共有
3)皆といい気分になって、たわむれこと=喜びの共有

アイルランド伝統音楽を演奏することでご自分の演奏にどういった影響があったと思いますか?

あれこれといろいろ求めるようになったかな。
だけど他の音楽を演奏したところで同じことになっていた(もしくは求められた)と思いますよ。

アイルランド音楽とほかの音楽を融合させようとなさったことはありますか?

あります。
けれどそれはむしろアイルランド音楽に、さらにはスコットランド音楽、つまりはゲール音楽とでも言えるかもしれませんが、それにインスピレーションを得た音楽になりました。
こうした実験的融合の基礎にはなったと思います。
参照にGroupe Den, Alain Genty group Jacques Pellen & Celtic Processionをあげておきます。

アイルランド音楽とそれを演奏することでもっとも重用な要素はあなたにとって何ですか?

リズムです。
丁度よい強弱やはっきりした区切れ目がなければ、この音楽はもの悲しく、空虚でさらには見分けがつかなくなってしまうと思います。

アイルランド音楽をはじめようと思っている人に何かアドバイスをお願いします。

最初の質問を見てください。

翻訳:黒川彩子

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