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ケルトの音楽家 インタビュー

キャラム・ヤンガー Callum Younger

これは今取り組んでいる新しいシリーズの第2弾で、優れたバウロン奏者にインタビュー形式の質問を送っています。私も本当にワクワクしているし、皆さんも楽しんでいただけることと思います。

今回はグラスゴーを拠点に活躍している若きバウロン奏者、キャラム・ヤンガーです。キャラムはバウロンとドラム・セットの組み合わせた本当にユニークなものを持っていて、それで素晴らしい演奏をします。彼の演奏は一見の価値があります!

キャラムは心を込めてこのアンケートに答えてくれました。私と同じように、皆さんも楽しんでいただけると思います。

原文はこちら(英語)

※左枠:インタビュアー 右枠:キャラム・ヤンガーさん

どうしてバウロンを始めたのですか。少しご自身のことを話してください。

16歳の時、初めてバウロンを手渡されました。それまでにも僕はいくつかのバンドでドラムを叩いていました。父はケーリー・バンドをやっていて、僕にバウロンを渡して、「明日の晩バウロンをやってくれ。ビール1杯と50ポンドだ!」と言ったのです。断る手はありません。

その晩のケーリーでは、リズムをとりながらバウロンのことを色々と試してみました。手で革の張りを調整すると音が下がることにすぐに気が付きました。それでもうバウロンに首ったけです。それに運搬に便利で用途の広いドラムなので、フル・ドラム・セットに比べるとずっと運びやすいということも付け加えておきます。
それ以来、バウロンの可能性を夢中になって探っています。

あなたの演奏に一番影響を与えたのは誰でしょうか?

一口では言えませんが…

僕のバウロンの演奏も、バウロンについての考え方も、多くのドラマーやバウロン奏者の影響を受けています。主なところを簡単に書きましょう。でも、これはほんの一部で、全部を取り上げることなどとてもできません。 

● バウロンを演奏する人
Joáo MendesとAndrés Fuzeiroは、2人とも大学で一緒に勉強した仲です。一生懸命練習することも、できるだけたくさん学ぶことも、独創性を大切にすることも、みんなこの2人から刺激を受けたことです。彼らから学んだすべてのことが、僕の音楽や楽器そのものの見方すべてを変えてくれました。2人のおかげです。

コーマック・バーン Cormac Byrneは、ドラムそのものを見なおして最高のドラマーになろうという気持ちを奮い立たせてくれます。彼の演奏、独創性とリズムの知識の豊かさは驚くべきものです。彼は疑いもなくこの楽器の最高の教育者の1人で、大学で彼に師事できたのは本当に幸運なことです。

Ronan O’Snodaighは大きな刺激でした。ダブル・ストロークを極めた第一人者です。これだけ言えば十分でしょう。彼の音楽への理解とアプローチは信じられないほどのものです。

マーティン・オニール Martin O’Neillと、エーメ・ファレル・コートニー Aimee Farrell Courtney。このおふたりは一緒に書きます。2人とも同じ理由で僕の背中を押してくれるからです。
それは音色です。彼らの手にかかるとバウロンから本当に楽しげな素晴らしい音が生まれるのです。おふたりとも演奏スタイルは違いますが、それぞれバウロンの音色を素晴らしいものにしています。

● バウロンを演奏しない人
アダム・スタイプルフォード Adam Staplefordは僕が出会って一緒に演奏した中では、たぶん最高のドラマーでしょう。彼のリズムの理解と演奏へのアプローチはまさに目を見張るものです。アダムを見ると、もっと勉強して、自分の演奏を研究して、すべてのことでもっともっと努力しなければならないと叱咤激励される思いがします。

ブライアン・ブレイド Brian Bladeも誰にもまして僕に刺激を与えてくれます。彼はドラムに彩色しています。彼ほど自分自身を表現できるドラマーはあまりいません。ドラムに情熱を持った素晴らしくて謙虚なミュージシャンです。

Ustad Shahbaz Hussain ― 完璧な素晴らしいタブラ奏者です。自分のジャンル以外にも目を向け、タブラのための新しいボルス(ストローク・テクニック)を生み出しました。コントロールの素晴らしさとリズムの完璧さばかりでなく、創造的な工夫を通して可能性を開く姿勢にも、強く動かされました。

デイブ・キング Dave King ― 彼には、ドラムの才能があります。人生、音楽、芸術、情熱!

バンド仲間 ― Pons Aelius、RUNN、HAC、Trio、FCT。これらのバンドのメンバーは様々な面で僕に感化を及ぼし、いつも背中を押してくれます。

常に気持ちを奮い立たせておくために、演奏家としてどんな事をしていますか。

様々なジャンルの多くのアーティストを聞いています。手足4本を使って素晴らしいことを成し遂げるドラム・セットの奏者をよく聞いていて、バウロンとドラム・セットで何ができるかを見極めたいと思っています。最近両手を使って演奏することを始めました。ポリリズムと、2つのリズムを同時に演奏しようとする時に入り込むトランス状態が好きだからです。
聞くことは刺激になりますが、それは正しい意図から来たものでなくてはなりません。かっこいいフィル・インとかインスタグラムで映える一発芸を学ぶことよりも、グルーブを学びたいと思います。

演奏の中で乗り越えてきた一番大きな問題は何ですか。

演奏の中で新しいことをしようとすると、どれも努力を要します。たぶん1つ1つ順番に乗り越えていくことに馴染んでいるので、それほど圧倒されるとは感じないのでしょう。問題を乗り越えていく技術を学ぶことは早い段階で身につけるべきスキルだと思います。

今は、スネア・ドラムでアップ・ストロークをコントロールして、ゴースト・ノートで演奏しようとしていて、日々絶叫したくなります。しかし辛抱強く練習すれば、いつかはバウロンー=ドラム・セットでパーディ・シャッフル(Purdie Shuffle)(注:Bernard Purdieが生み出したリズム)もできるようになる!と教えてくれています。

今使っているバウロン、スティック、ケースはどこのものですか。

HedwhitschakのCORELine Bulletを使っています。元々は僕のMONの革を張り直す間の代用だったのですが、CORELineのドラムは素晴らしくて今では夢中です。

スティック ― ドラムスティックを切って使うのには2つの理由があります。
(1) 安い。
(2) シンバルを叩いていて、よくスティックを折ってしまいます。だから、きれいなハンドメイドのティッパーを使うのは、素材とお金の無駄なのです。

ケース ― 僕の母はハリス・ツイードで製品を作る会社をやっています。それで普通は母が作ってくれたケースを使います。でも本当のところ、手に入るものなら何でも使います。今は、ツアーでは40リットルのバーグハウスのバッグを使っていて、15インチのスネア・ドラムとコアライン・バレットを入れることが出来ます。バッグの上にも機材をベルトで留めます。人間1人くらいの重さになりますが、少なくとも担いで電車に乗ることができます!

あなたの演奏をユニークなものにしているのは何だと思いますか。

ユニークだとは言えませんが、僕の演奏では、できると思ったことは推し進めていきたいと思っています。何かワクワクすることをやってみたら、また別のものに移っていきます。熱くなるのは、独創的に突き進んでいくバウロン奏者を見ることです。自分の演奏で誰かの真似をすると、音楽シーンに何ももたらしません。自分のスタイルを見つけることは大切です。結局僕はバウロン奏者がリスクを取っているのを見聞きしたいと思います。僕も例えばシンバルやスネア・ドラムを使って、自分の演奏でリスクを取りたいと思います。それがユニークと言われるものかもしれません。むしろそれを初めてやったバウロン奏者でありたいと思います。シンプルなのに効果的だということにみんな驚くでしょうから。

バウロンを始めたばかりの人に何かアドバイスをお願いします。

よく聴いてください!

まず他の人の演奏を。セッションで演奏している時にはいつも耳をそばだてていてください。

それから今度は自分の演奏を聞いてください。演奏している自分から離れて、どうすればもっとよくなるか判断してください。慣れるのに苦労すると思いますが、進歩するためには、自分の失敗を分析する必要があり、自分を引き離してみることが鍵なのです。

バウロンを習っている人に、最後に何か一言お願いします。

散歩に行こう!

メトロノームをつけて、世の中の音と鼓動を聞きましょう。

Pons Aelius の Indiegogo Campaign
Pons Aeliusはセカンド・アルバムの作業を終え、2019年9月にリリースの予定です。(2019年5月時点での情報)