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ティン・ホイッスルのすべて
 
ティン・ホイッスルの歴史
ティン・ホイッスルの教本を執筆したL.E.マッカロー(L.E. McCullough)によると、アイルランドでの笛の演奏者に関する記述は3世紀に求められます。

もっとも、 当時ティン・ホイッスルのような発音の仕組みを持つ笛は世界中にあったのではないかと思われます。

ダブリンからは、12世紀に作られた骨のホイッスルが出土しています
現在のような金属のホイッスルが登場する19世紀までは、骨や植物からホイッスルが作られていたようです。

オックスフォード英辞書(Oxford English Dictionary)によると、ペニー・ホイッスル(Penny Whistle)という言葉は早くとも 1730年に、ティン・ホイッスル(Tin Whistle)という言葉は1825年に見出せるものの、どちらの言葉も20世紀になるまでは一般的ではなかったようです。

ティン・ホイッスルが生まれた経緯はどのようなものだったのでしょうか。
 

出展 pixabay.com


ヨーロッパでは中世からリコーダーが使われていました
現在では学校の音楽教育以外ではあまり触れる機会がないリコーダーですが、15 世紀のルネサンス時代から18世紀頃のバロック時代の半ばまで大変もてはやされ、一時は横笛のフルートをしのぐ人気がありました。

なおバロック時代はフルートと言うと縦笛であるリコーダーを指していたので、フルートは「横」を意味するトラヴェルソ(Traverso)をつけて、フラウト・トラヴェルソ(Flauto Traverso=イタリア語)または単にトラヴェルソと呼ばれていました。

18世紀後半から19世紀初頭にかけて、イギリスでは、リコーダーよりも演奏の容易なフラジョレットが流行しました。
フラジョレットは柘植や黒檀や象牙から作られており、中には2本や3本もの管を接続して同時に吹くものもありました。

国が豊かになるにつれ、ロンドンに住む中産階級の音楽熱は英国中に広まり、より安く手に入りやすい楽器への需要が高まりました。

そんな時代のなかイングランドのサフォークに暮らしていた農場労働者ロバート・クラーク Robert Clarke 1816 - 1882)は、乏しい収入を補うために金属の笛を作って売ることを思いつきました。

ちょうど産業革命以降ブリキ板の値段が下がり、原料が手に入れやすくなっていたのです。

彼は知り合いの鍛冶屋の助けを借りて金型をおこし、フラジョレットをモデルに金属製のティン・ホイッスルを作り、「クラーク・ロンドン・フラジョレッツ」という商品名で販売しました。

のちにクラークの商売は成功し、マンチェスターに15人の従業員を擁するティン・ホイッスル工場をかまえるほどになりました。
クラーク社は1843年の製造開始から現在まで、ブリキを丸めた管体に木片をさしこんだティン・ホイッスルを製造しています

開業当初はC管のティン・ホイッスルのみを製造していましたが、1989年にD管の生産も開始しました。長い間、特にアイルランドにおいて、クラーク社は唯一のティン・ホイッスルメーカーとなりました。

19世紀後半には、ティン・ホイッスルはイギリス、アイルランド、スコットランド、アメリカにおいてハーモニカと並ぶほど身近な楽器となりました。
しかしその人気の割にはティン・ホイッスルについて書かれた文献はあまり残っていません。
それはこの楽器がほとんどおもちゃのようなものだと思われ、真剣に取り組むべきだとはみなされていなかったからではないかと言われています。

ティン・ホイッスルは別名ペニーホイッスルとも呼ばれていますが、その理由 は、昔は1ペニーで買えてしまうほど手ごろな笛だったからとか、ティン・ホイッスルを吹く大道芸人に1ペニーを支払う習慣があったからとされています。

これらから、いかに民衆の生活にティン・ホイッスルが根付いていたかを窺うことができます。
 

日本の楽器店でも簡単に手に入るジェネレーション Generation 製のティン・ホイッスルは、20世紀の前半に製造が開始されました。
今や一般的となったプラスチックの頭部管を初めて採用したのはジェネレーションです。

量産品のティン・ホイッスルとしては、クラークとジェネレーションは現在最もポピュラーなブランドとなっています。

ティン・ホイッスルはここ40年ほどのフォーク・リヴァイバルで大きく脚光を浴びました。
名人たちの卓越した技が録音を通じて紹介されたことで、ティン・ホイッスルは真剣に取り組むべき楽器として認知されるようになったのです。

近年では「タイタニック」「ブレイブハート」といった映画のサウンドトラックや、日本のコマーシャルで使われる機会も増え、アイルランドのバンド「コアーズ」が演奏したことでも注目を集めました。