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アイリッシュ・フルートにできて、モダン・フルートにできないこと
モダン・フルートは、複雑に発達したクラシック音楽に対応するために、3オクターブの音域すべてにおいて、均等で豊かな音量や音色で、正確な音程で演奏できるように開発されたフルートです。それを実現するために、タンポで指孔をふさぐ複雑なキー・システムを備えています。

世界中にあるほとんどすべての笛は指孔を直接ふさぐので、モダン・フルートはむしろ特殊な笛なのです。そのため、民族音楽では当たり前のように使われている声の模倣、つまりポルタメントがしにくくなってしまいます。また、アイリッシュ・フルートで一般的に使われる指によるヴィブラートも、モダン・フルートでは実用的ではありません。アイリッシュ・フルートのリード楽器のような濃厚な音色も、モダン・フルートでは再現が難しいです。

モダン・フルートよりも古い時代の楽器は未発達の楽器と考えられがちなのですが、アイリッシュ・フルートとモダン・フルートは全く違う魅力や特性を持った楽器と考えて良いでしょう。