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ティン・ホイッスルの作り方

ティン・ホイッスルは手作りできる!

初めての楽器としてもやさしくて楽しいティン・ホイッスル、自分で作ってみませんか?
ここでは一番初心者向けのHigh Dのホイッスルの作り方をご紹介します。
怪我をしないように気をつけて、楽しく作りましょう!

材料
ホイッスル用VEパイプ (内径14mm、外径18mmのもの)
マウスピース用VEパイプ (内径18mm、ホイッスル用パイプにぴったりはまるサイズ)
※VEパイプは大きなホームセンターの電気コーナーにあります (写真11)
木の丸棒 (ホイッスル用パイプの内径より0.5~1mm程度太いもの、直径約15mm、写真13)


道具(写真1、6~8)
サンドペーパー (番手: 60~100程度と240程度)
スポンジ研磨剤 (3Mなどの600番程度、なければ600か1000のサンドペーパーでも可)
ダイヤモンドやすり、半丸形が一番使いやすい (ウィンドウェイ、歌口、指孔を整える為)
紙のマスキングテープ
マスキングテープに書けるペン (マッキーなど)
定規
のこぎり
ナイフ
電気ドリル
ドリルビット (2.5mm位~最大9mmか10mmまで)
チューナー (スマートフォンのアプリで可、今回は無料のDaTuner Lite (写真14、15) を使用)


あると便利なもの
High Dのお気に入りのティン・ホイッスル (見本として使えます)
万力 (バイス)
マイターボックス (マウスピースの部分を斜めに切るのに便利)
カッターマットなど直線が多く引いてある板状の物
ノギス
滑り止めマット
直径10~12mm程度の丸棒 (作り方7参照)
布か皮の端切れと、ピカール等の磨き剤 (備考参照)


備考
VEパイプには製造社名や商品番号などが印刷されていることがあります。
布や皮の端切れに金属磨き (ピカールなど) を塗ってこすると簡単に消すことができます。
全体を磨けばホイッスルもピカピカになりますよ。

準備、ホイッスル全体の成形編


1:のこぎりでホイッスル用パイプを32~33cmに(市販のDホイッスルより2~3cm程度長く)切ります。
万力で挟んだり切りたい部分すれすれにマスキングテープを巻いたりするとまっすぐ切りやすくなります。
滑り止めマットも使えます。(写真16)
長ければ後で切って調整できますが、短く切り過ぎてしまうと音が高くなってしまうので注意してください。

2:のこぎりで切った切り口にバリ(ギザギザ)が残っていたらナイフかやすりで整えます。
ナイフを使う場合は指を怪我しないように十分注意しましょう。(写真17)

3:ウィンドウェイを作ります。
のこぎりでパイプの端から縦向きに、約4mm間隔で2本切り目を入れます。
切り目の長さは4.5cm位です。(写真18、19)

4:切り目の間の細長い部分を根元で繰り返し折り曲げると折れて取れます。
のこぎりで切った部分と歌口の一番下になる部分がきれいになるように、ナイフとやすりで整えます。(写真20)

5:写真20の丸棒は、直径がホイッスル用パイプの内径より1mmほど太い為そのままでは差し込めません。
写真21のように少しずつ削り、サンドペーパーで表面を滑らかにしてはウィンドウェイに差し込んでみるという作業を繰り返し、ウィンドウェイにきつくはまる程度まで丸棒を細くしていきます。

6:丸棒がきつめに入るようになったら、ウィンドウェイに隙間を6~7mm残して差し込み、丸棒を少し長めに切ります。
次に、マウスピース用のパイプを丸棒の端からウィンドウェイの端位までの長さに切ります。(写真22)

7:マウスピース用のパイプをウィンドウェイとは反対の口からはめ込みウィンドウェイのところまでスライドさせます。
かなりきつめに写真25の位置まで上がり切れば成功ですが、大体は写真23のように途中で引っかかると思います。
丸棒の太さのせいでホイッスル用のパイプが少し膨らんでいるからです。
その場合はいったんマウスピース用のパイプを下げて外し、丸棒を取り出してサンドペーパーで全周を削って微調整をします。(写真24)
わずかに削り、ウィンドウェイにはめ直し、マウスピース用のパイプをまたスライドさせてみます。
根気のいる作業ですがこの部分のはまり具合が重要なので頑張って繰り返してみてください。
(もしフィップルがきつ過ぎて下げられなくなってしまったら、「あると便利なもの」にある細めの丸棒をホイッスルの反対側から差し込んで、はめてある丸棒を押し出せば外せます。)

8:写真25の位置までマウスピース用のパイプを上げられるようになったら(あくまできつくなくてはいけません)、いよいよ音が出せる時です。
丸棒の下部分とマウスピース用パイプの下部分が同じ位置になっていれば音が出るはずです。
チューナーを準備して一度吹いてみてください。
息を吹く強さによってC(ド)、C♯(ド♯)、D(レ)のどれかが出ると思います。
もし弱めか普通に吹いてもDが出るようならそのままでOKです。
CかC♯が出て、強く吹かないと(または強く吹いても)Dに届かない場合はホイッスルが長いので、音のずれ加減にもよりますが、数ミリずつパイプの下の端を切って吹いてみるという作業を繰り返します。
今回は弱めに吹くと低めのC♯(写真26)、強く吹くとわずかに低いD(写真27)という高さだったので、5mmほど短くしたらちょうどよくDの音(写真28)が出るようになりました。
ほんの5mmで違いが出ます。(写真29)
Dの音が出るようになったら、強く吹いて1オクターブ上のDも吹けるかどうか確かめておきましょう。

9:マウスピース部分を整えます。
両方のパイプの接合部分をマスキングテープで数周巻いて固定し、万力で挟むかマイターボックスを使うなどしてホイッスルをしっかり固定して、マウスピースを口に当てやすい角度に斜めに切ります。
今回はマイターボックスを使って45度にしました。(写真30、31)

10:マウスピースが尖ったままでは唇への当たりが良くありません。
サンドペーパーやスポンジ研磨剤を使って滑らかにしましょう。
既にティン・ホイッスルを持っている人はそれのマウスピースの形を参考にするのも良いでしょう。(写真32、33)
ホイッスルの反対の端も滑らかにしておきましょう。
ナイフで内側の面取りをしたり(写真34)、サンドペーパーを使ったり、好みの仕上げにします。

穴開け、チューニング編


11:いよいよ肝心の穴開けです。
今回は指孔の位置が一番自分の指に合わせやすいDのティン・ホイッスルにマスキングテープを貼り、穴の位置をペンでなぞるという方法で一種のテンプレートを作りました。
カッターマットや定規などに指穴の位置を写したマスキングテープを貼り付け、中心に縦の線を引きます。(写真36)
この時、マスキングテープは、見本のティン・ホイッスルに貼る時も自作のホイッスルに貼る時も歌口の一番下から貼り始め、まっすぐに貼ることを忘れないでください。(写真37)

12:次は電気ドリルを使いますので十分注意して扱ってください。
正確な位置に穴を開ける為、最初に細めの2mmか2.5mmのドリルビットを使います。
テンプレートの印の部分に6か所とも穴を開けます。(写真38)
この段階でテンプレートははがしてしまってかまいません。
1mmずつドリルビットを太くしていって、4.5mmか5mmまで全ての穴を広げてしまいます。(写真39は4.5mm)
この穴の大きさではどれも音が低いので、これから段々と音の高さを確認しながら各指穴を広げていきます。

13:ここでまたチューナーの登場です。
全ての穴をふさいでD(レ)の音が出るのを確認してから、下から一本ずつ指を離し、下からE(ミ)、F♯(ファ♯)、G(ソ)、A(ラ)、B(シ)、全部離したらC♯(ド♯)が出るまで、一つずつ指孔を広げていく作業を続けます。
チューナーに表示される音のずれ具合にもよりますが、0.5mmか1mmずつ根気よく広げていくのが良いです。
必ず下から順番に、一度に一つの穴だけ作業してください。
一つの音が完成するごとに、全部ふさいだDからできた音まで一音ずつ確認しながら進めます。

14:写真40はDからAまでの指孔をチューニングしたところです。
残りの二つの穴よりも大分大きい穴があります。
売っているティン・ホイッスルもそうですが、下から2番目の穴が一番大きくなります。
今回は直径9.5mmでした。
写真41は全ての指孔が正しい大きさになったところです。

15:指孔を全てふさいだところから1音ずつ開けながら、1オクターブ吹いてみましょう。
きれいな音が出たでしょうか?
今度は少し強めに吹きながら、2オクターブ目(高い音)を出してみます。
全部の音が出ましたか?
もし一番上の二つか三つの音が上手く出ない、またはひっくり返るようなら、指孔をきちんとふさげているかどうか確認して、息の強さも調整しながら何度か吹いてみます。
それでもだめなら、歌口が広すぎる可能性があります。
丸棒を上から少しだけ押しこんで歌口を少し狭くしてみてください。
マウスピース部分のパイプも丸棒の下端に合わせて下げるかどうかは、音の出具合と音色の好みによります。
微調整をして2オクターブ目まできれいに音が出るようにしましょう。

仕上げ編


16:15で丸棒の位置を変えた場合は、必要に応じてマウスピース部分にもう一度やすりかサンドペーパーをかけるなどして、3つのパーツ全ての表面の高さを揃え直します。

17:いよいよ最後の工程です。
ドリルで開けた穴の周りにあるギザギザや出っ張りをダイヤモンドやすりで滑らかにします。
演奏のしやすさにも影響しますので、丁寧に仕上げをしましょう。(写真42)

18:さあ、これであなただけのホイッスルの完成です!(写真43、44)
早速お気に入りの曲を吹いてみましょう!

 

製作者のご紹介

今回資料をご提供いただき、このページ作成にご協力(というか全監修)いただいたのは…

お名前:Ling WhistleMakerさん (笛作りのリン)
問い合わせ先:LingWhistleMaker@gmail.com


自己紹介
・猫3匹とともに静岡県在住。
・ケルト音楽が大好き、きっかけは敬愛するウェールズ人歌手のメリー・ホプキン。
・大学時代を英国ウェールズで過ごし、ティン・ホイッスルに初めて触れる。
・数年前からホイッスルの自作を始める。
・笛作りをしていない時は主に英日翻訳と翻訳チェックの仕事にいそしんでいる。

 

出典 Ling WhistleMakerさん YouTubeチャンネル