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ブズーキについて

ブズーキの歴史、発展、種類


ブズーキの起源は、17世紀のイギリスのシターンに遡ることができます。エリザベス朝のイギリスでは、シターンは王侯貴族の間だけではなく、一般庶民の間でも親しまれていた楽器で、当時の様子を伝える様々な絵画が残っています。
 

シターンを弾く女性 (1677 by Pieter van Slingeland)


当時のシターンの弦長は460mm~540mm程度のものが一般的でした。当時はまだ巻き弦を作る技術が十分に発達しておらず、低い音を出せる弦を作れなかったため、ウクレレのように、低音弦側にオクターブ上の弦を張るチューニング (Re-entrant Tuning) が用いられていたようです。

17世紀末頃にはシターン人気は下火になったものの、ドイツではヴァルトツィター (Waldzither) として人気を博し、生き残りました。
 

18世紀中頃になると、イギリスで、前世紀のシターンよりもしっかりとした作りのイングリッシュ・シターンが登場し、イギリスだけでなく、フランスなどの大陸側でも演奏されるようになりました。また、ポルトガルでも同じような楽器が登場し、今日でもポルトガルギターやファド・ギターとして親しまれています(但し、ポルトガルギターがイングリッシュ・シターンから派生した楽器であるのかどうかなど、その詳しい起源はわかっていません)。このポルトガルギターのデザインの様々な要素、特にネックヒールをボディの中に組み込んだスルーネックや、ブレーシング構造、独特のティアドロップ型のボディなどは、後にステファン・ソーベルなどの現代の製作家に大きな影響を与えることになります。

一方、東ヨーロッパでは当時、サズ (saz) や、タンブリツァ (Tamburitza) など、ロングネックの弦楽器が親しまれ、ギリシャでは20世紀になると、イタリアのマンドリンの製作法を応用したギリシャブズーキが作られるようになります。このブズーキをアイルランドに持ち帰ったのが、スウィニーズ・メンのジョニー・モイニハンでした。その後モイニハンのバンド仲間だったアンディ・アーヴァインのフラットを訪れたドーナル・ラニーは、彼のギリシャブズーキを自宅に持ち帰り、左利き用に弦を張り替えて演奏し始めます。当時のギリシャブズーキは非常に弾きにくかったそうで、1970年にドーナル・ラニーはピーター・アブネット (Peter Abnett) に製作を依頼。ギリシャブズーキのようなネックが長く、ギターやシターンのようにフラットバック構造を採用した楽器が誕生し、今日のブズーキの原形となったのでした。

現代のモダンブズーキの発展を語る上で欠かせないもう1人の人物が、イングランドの製作家、ステファン・ソーベル(Stefan Sobell)です。時は1973年。当時、アンプを使わないクラブでポルトガルギターを演奏していたソーベルは、ギターの音色には満足していたものの、常に音量不足を感じていました。そんな中で彼は、ある日手に取ったマーティン社のアーチトップギター (Martin C1) の遠達性に着目。ポルトガルギターとアーチトップギターの構造を参考にしつつ、様々な音域に対応できるように、ポルトガルギターより少し弦長を伸ばしたシターンを製作し始めました。当時彼が製作していたシターンの弦長は530mm-610mmと、現在の一般的なブズーキよりは短く、4コースのものをオクターブ・マンドリン、5コースのものをシターンと彼は呼んでいました。このオクターブ・マンドリンは、現在主にケルティック音楽やヨーロッパの幅広いフォーク音楽で演奏されるマンドリンの原形となります。ソーベルはその後もシターンだけに留まらず、弦長が650mm前後の4コースのブズーキや5コースのブズーキ (シターン) も製作して人気を博します。また、マーティン・シンプソンのギターを製作したことでも彼は一躍世界的に有名になり、ブズーキファンの間でも、彼の楽器は高く評価されることになります。
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