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初心者が自力で調べる楽器の話

バウロン その2「アイルランド音楽とバウロンの意外な関係」

前回、歴史というよりビギ丸の妄想で、太古の文化と打楽器の関わりを振り返り、フレームドラムがシャーマンにとても人気だったというお話をしてみました。

そして諸説あれど、「バウロン」という名前閉じは、フレームドラム or シャーマン・ドラムがアイルランドの酪農家たちの間で独自の進化をした固有の名前だ、ということです。

ちなみに!

ここは意外なところですが、アイルランド音楽の中でバウロンが人気を博すのは、1960年以降だったりします。
きっと仕事終わりの音楽で楽しむ時間(セッション)で何かしらの打楽器は使われていたと思いますが、バウロンという名称の楽器が流行り出したのは、一度アイリッシュ音楽などの伝統が廃れて、このままじゃダメですわ!とアメリカに渡ったアイルランド系移民のミュージシャンたちや、アイルランドのミュージシャンがリバイバル(人気を復活させるぞ運動)を始めた頃に重なります。

なので、案外さかのぼれる伝統がないということがわかってしまいました。(ここまでめっちゃ書いたのに)

ちなみにそれより前の時代に「貧しい人のタンバリン」というような楽器が流行っていた記録はあるそうです。これは、最初の方に書いたようにタンバリンからシャラシャラ鳴るやつを取り除いた、シンプル版タンバリンです。ただ、こちらはバウロンとは奏法が異なっていたと言われています。(手で叩いて音を鳴らす、まんまタンバリンっぽい奏法)

奏法の話が出ましたので、どうやって演奏するのかを見てみましょう。

まず、バウロンを利き腕じゃない方で持ちます。持ち方は色々あると思いますし、楽器の中には持ちやすいように後ろ側に「持ち手」のようなものを作りつけてるモデルもあります。
なんにしても、片手で持ちまして、空いた方の手に「バチ」を持ち、それで打面を叩くわけです。

この「バチ」は、なぜだか知りませんが「ティッパー」「ビーター」とふたつの呼び名で呼ばれます。ほかにも「シピン cipín」と呼ばれていたこともあるようです(これはあんまり耳にする機会はありません)。英語圏のバウロン販売店では、この上なくわかりやすく「バウロン用の棒(スティック)」として販売していたりもします。結局なんで名前が違うのかはわかりませんでした。

ただ、バチにも形状がたくさんあります。

棒の両端にコブがあるようなやつ(これが一番スタンダードなタイプです)、鉛筆のように細くて長いもの太めのやつや、細い竹ひごを何本もまとめて1本のバチにしたもの、また先がブラシのようになっているものなどです。
これらは、すべて叩いた時の音に影響します。なので、バウロン奏者が「この演奏ではこんな音が出したいなぁ」と思ったら、それに合ったバチを探す、なければ工夫して作ってみる、ということで、きっとエンドレスに増え続けていくんじゃないかと思います。

また、太鼓を持っている方の手も、ただボーッと持っているわけではなく、打面の裏側から手をそっと添えて響き具合を調整したり、また音程を調整するなんてこともできるんです!

笛屋さんでは上沼 健二さんという、すばらしい&おもしろいバウロン、パーカッション奏者の方にアドバイザーを務めていただいています。

最後に、上沼さんに質問した際の答えを引用して、今回のコラムを終わりたいと思います。

「アイルランドで使われるバウロンの標準的なサイズは16インチ(40cmぐらい)です。
このサイズだと低音が気持ちよく響き、アイルランド音楽でよく聴かれるような、バウロンらしい打ち心地・演奏感が得られます。
打面が大きいと音量も大きくなりますが、大きなサイズのバウロンは革を裏側から手で押さえて演奏すると音量を小さく抑えられるため、初めてバウロンを演奏する方には16インチをお勧めしています。
一方で、サイズ的に大きすぎてちょっと…という方には小さめの14インチ(35cmぐらい)がございます。こちらは小さいことで持ち運びがしやすく、音量も打面が小さくなる分控えめです。その店で、音が引き締まっているので、集音マイクで音が拾いやすく、ステージで演奏するのにも向いています。」

なるほど、勉強になります。


余談ですが、バウロンは英語で書くと「Bodhrán」と書きます。
わけわからないので、ビギ丸は「ボドハラン」と覚えるようにしています。
どうでしょう、勉強になりますか?そうでもない?

なるほど。

 
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