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店長、ケルトの国へ行く

11日目 ウェールズ人は「兼 歌手」?

そんな感じで話していると、「まぁいいから入んなさい、入んなさい」みたいなおばさまの気遣いもあり、セッションの輪に椅子を並べて入らせていただきました。

そこで気になるのは、目の前のテーブルに置かれているピブゴーン!

「これってピブゴーンですよね?」と聴いたら「あらJP、ピブゴーンを知ってるなんて珍しいわね!日本ではメジャーなの?」と聞かれたので、ある特定の層にはメジャーです!と力強く答えておきました。(ウソではない)

このピブゴーンは、おばさまがパイプ職人に作ってもらったようで、本格的な角笛ピブゴーンと、簡易プラスチックピブゴーンの2種類。

それなら吹いてごらん、ちょっと吹かせてもらいましたが、音量がめちゃくちゃ小さくてびっくり!
もっと爆音をイメージしていた(サイズ的にも見た目的にもボンバルドに似てるしね)ので、室内でも全然まったく1mmもうるさいと感じない、上品な音色で、これはいい楽器だなと再認識しました。

ウェールズは歴史上、早々にイングランドに吸収されてしまったので、侵略された経験はあまりないんですが、その分、自分たちのアイデンティティを保つために独自の言語ウェールズ語の保存に力を入れていたと言われています。
なので、みなさんウェールズ語でもある程度会話できるようで、そういった言葉を大切にする文化があるように思います。

セッションでも演奏ばかりじゃなく、演奏者同士の言葉のやりとり、会話をすごく重要視している雰囲気があって、でも別にウェールズ語だけでしかしゃべらんわい!みたいな排他性もなく、ウェールズ語でしゃべったら、ぼくに英語で説明してくれたり、それにみんなが色々店長に質問してくれたりして、本当に会話がみるみる広がります。
ほんと演奏4:会話6
ぐらいの感じ。

ケルト音楽ファンで、笛屋さんってショップをやっていて、ピブゴーンも販売したことあるんですよ、という話で盛り上がったあと、カナディアンのお兄さんフィドラーが、「こうなったらJP、ここは一曲聴かせてくれよ」という奇跡のムチャぶり。

そういえば、店長はセッション的な場に居合わせても、仕事柄カメラを回していることが多くて、ちゃんと参加したことがないんです。
それがまさか人生初セッションをウェールズで経験するとは。
もちろん、こんな機会を棒に振るなんてことはありえないので、ホイッスルを借りてhataoさんの十八番Coolinを吹かせてもらいました。
店長は元々クラシックの人なんで、発音技法とか奏法のクセがクラシック寄りになっちゃうんですが、その辺がウェールズ人的に共感を呼ぶものがあったみたいで、幸い「超いい音で演奏するねー、いいものを聴かせてもらったよ!」と褒めてもらえました。
てへ。

そんな感じの会話重視のセッションなので、早い段階からみなさんとも打ち解けて、なんだかホームにいるような気にさえなってきたところで、驚きがひとつ。

セッションに参加されたことがある方はわかると思いますが、セッションで何かを演奏するときは、ひとつの曲を何周も何周も演奏して、その都度アレンジを変えたり、装飾を入れたり、抜いたりして、それぞれがその曲のアレンジを微調整するように繰り返していき、ある程度経ったところで、演奏者同士がアイコンタクトや掛け声を入れて、同じリズムの次の曲に移行する、そんな決まりがあるんです。

ウェールズのセッションでもそんな感じだと思って、「お、掛け声が入った、そろそろ違う曲かな」と思った瞬間、次の繰り返しの頭から、歌うんです!

ウェールズ語で歌います、フィドラーは演奏しながら、笛吹きは楽器を一旦置いて歌います。

なんと!
こんな豪快なアレンジもあるんですね。

また、ハモリを入れたりするのも、クラシックアンサンブル的なノリ。

知れば知るほど、本当に魅力的なウェールズ音楽、言葉、歌を大切にするウェールズ文化の真髄を見れたような気がします。

また、フィドル弾きもフィドルを弾くだけじゃなく、時にはフィドルを打楽器がわりにしてたくましい声量で歌う、みんなが「兼 歌手」、これもウェールズ音楽の常識なのかもしれません。

そんな感じで、バスの終電がなくなる時間まで、たっぷりと充実した時間を過ごすことができました。
 
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