オンライン音楽コンペティション参加の結果です! 後編

ライター:hatao

こんにちは! ケルトの笛のhataoです。

昨年11月にアイルランド音楽家協会の日本支部(CCÉ Japan)が主催したアイルランド音楽のコンペティションの結果が12月に発表されました。

前回の記事はこちら。

オンライン音楽コンペティション参加の結果です! 前編

今回私は以下の4部門で、コンペティションに初挑戦しました。

  • フルート・ソロ (ダンス曲とスロー・エアー)
  • ホイッスル・ソロ (ダンス曲とスロー・エアー)
  • フルートのスロー・エアー
  • ホイッスルのスロー・エアー

前回の記事では参加を決めた経緯、そして北アイルランドのフルート奏者 Brendan Mulhollandさんからもらったアドバイスについて書きました。

ドキドキの審査結果発表!

コンペティション参加から1ヶ月が経った12月10日。

審査結果が多少は気にはなりつつもほとんど忘れていた頃に、審査結果がメールで届きました。

審査員はアイルランド人アコーディオン奏者のColin McGill氏です。

今回のコンペティションに何人の参加があったのかは知りませんが、私の演奏動画だけでも30分くらいはあるのに、全員分の動画を観て審査してコメントを書くのは、本当に骨の折れる仕事だと思います。

自分が担当することを考えると、審査への責任もありますし、到底引き受けられるとは思えません。

腕試しくらいの軽い気持ちで参加したコンペティションですが、審査員およびスタッフの皆様には改めて感謝します。

さて気になる結果発表です。

まず点数とパーセンテージですが、

フルート(ダンス曲とスロー・エアー) 348点 87%

ティン・ホイッスル(ダンス曲とスロー・エアー) 354点 88.5%

フルート(スロー・エアー) 184点 92%

ティン・ホイッスル(スロー・エアー) 186点 93%

という結果になりました。

85%以上の得点でゴールド賞を受賞ということですので、幸いにも4部門すべてでゴールド賞を獲得することができました。

審査基準は?

数字だけ見ると、自分のメイン楽器だと思っているフルートの得点が低くゴールドぎりぎりだった件については悔いが残ります。

4曲の中のホーンパイプの得点が80点と足を引っ張っており、おそらく演奏テンポを飛ばしすぎたことが減点の一因だったようです。

また全体的な傾向として装飾音が過多だと減点になるようです。

4枚の評価シートでは、審査員から手書きのコメントがありました。

装飾音や変奏やテンポについてのコメントが詳細に書いてありますが、アドバイスではなくおおむね演奏テクニックやパフォーマンスについての賛辞をいただきました。

選曲に関しては、初心者向けセッション・チューンばかりを選んだのですが、それが理由で減点されていることはありませんでした。

つまり、伝統音楽のある程度よく知られた曲であれば何でも良いのかもしれません。

しかし、たとえば90点は満点ではないわけで、なぜ10点減らされたのかが気になります。

もっと難しい曲で同じレベルの演奏ができれば、満点になるのかと考えたりもします。

今回は非公式のコンペティションで順位付けはありませんが、公式戦ではポイントの高低をもって順位を決めるので、減点理由についてはよく考えたいです。

今回の結果については、とりあえずゴールドが受賞できたということで安心しました。

それなりに自信を持って臨んだのでシルバーだったら恥ずかしいし、悔しがったと思います。

これまで20年間、我流で演奏してきたアイルランド音楽でしたが、アイルランド人の審査員に正式に認められたということで、今後とも自信を持って演奏・講師活動をしていきたいと思っています。

コンペティションをどう考えるか

今後、正式なコンペティションに参加するかどうかは未定です。

コンペティションは本来、若い人に挑戦の場を与えるものだと思うからです。

もちろん、私は年齢・経験年数関係なく、公平な審査を受けて競いたい気持ちがありますが、若い人は同じようには感じていないかもしれません。

それに、プロ奏者たちの中にはプロになる前からコンペティションにまったく興味がない人も多いです。

彼らがコンペティションをどうとらえているのかについては、機会があれば聞いてみたいと思っています。

しかし仮に今後コンペティションに参加するのであれば、完璧に対策をしたいです。

たとえばCCEが公開している過去の受賞者のコンペティション時の動画を観て研究し、また受賞経験のあるアイルランド人演奏家に少なくとも3回はレッスンを受けます(1回目は現状の把握、2回目は演奏改善後の確認、3回目はさらなる精度アップ)。

また、審査員経験者や受賞者を対象にインタビューも行い、審査基準を熟知して臨むでしょう。

コンペティションは英語の試験「TOEIC」と同じようなただの試験、もっと言えば得点を取るゲームにすぎないと思うので、対策を行えば効率よく得点を上げられるはずだと考えています。

最後に私のコンペティションへの考えを述べます。

音楽、特に伝統音楽というのは色々なスタイルを受け入れる懐の深さが魅力だと感じています。

アイルランドのトップクラスのプレーヤーはそれぞれが違うスタイルで演奏をしますが、そのレベルになると誰が上とか下というのは評価できません。

しかしコンペティションという場では、それを一つの価値基準に当てはめて点数を付けなくてはいけません。

つまりそれは演奏技術一点のみだと思うのですが、そこに矛盾を感じています。

また、コンペティションで高得点を出したから音楽家として魅力的な演奏ができるというわけではありません。

音楽家の魅力は作品や、聴衆の前でのパフォーマンスといった実践の場で現れます。

作曲編曲力、即興演奏能力、アンサンブル能力なども、ソロ部門では測ることができません。

先程の英語の例えでは、TOEICで満点を取ったからといって自信を持って英語スピーチや会話ができるかといえば、それはまたは別の訓練が必要になると思うのです。

ですので、参加者はコンペティションの結果に一喜一憂することなく、淡々と評価を受け止めて、自分が目指すべき音楽にまい進すれば良いのだと思います。

要はいつでも自分のために楽しむ姿勢が大切なのかと思います。

参考に:
フィドル奏者のTamikoさんも初参加でゴールド受賞をされていらっしゃり、そのことについてnoteにまとめていらっしゃるので、興味のある方はお読みください。

Tamikoさん、受賞者の皆様、おめでとうございます。

「CCÉ主催Fleadh Cheoilの日本予選フィドルソロ部門を受けてみた」